国土交通省の「富士教育訓練センターの充実強化の具体化に向けた検討委員会」は、同センター(静岡県富士宮市)の建て替えと機能充実に向けた報告書をまとめた。報告書では、三田建設技能研修センター(兵庫県三田市)などとの連携の下、同センターを建設業の広域的職業訓練施設と位置付けて訓練内容の充実を図るとともに、老朽化した既存施設の建替工事に2014年度中に着手することを提言。建替実行委員会(仮称)を設置して責任とイニシアティブを明確にし、担い手確保・育成の象徴的取り組みの一環として業界関係者が支援することも記述した。
報告書では、建設産業の就業者の高齢化と若年入職者の減少が進む中で、次世代への技能・技術の承継が喫緊の課題と指摘
。しかし、各建設企業が厳しい経営環境に置かれている状況で、従来のOJTに加え、OFF−JTの一層の活用を進める必要性があるとし、建設産業の人材育成の拠点である富士教育訓練センターの充実強化が不可欠と訴えている。
一方、同センターの既存施設は老朽化が進んでおり、早期の建て替えが求められており、14年度中に優先順位の高い施設から建替工事に着手するべきとした。建て替えに合わせ、外国人技能実習生や女性の受講、防災、耐震化、リフォームなどに対応したカリキュラムを構築するなど、教育訓練内容の充実を図ることも提案。三田建設技能研修センターをはじめ、他の職業訓練施設との連携・協力を深める必要性も指摘している。
建替資金は、運営主体である全国建設産業教育訓練協会と施設所有者である建設業振興基金の最大限の負担、厚生労働省などの助成制度活用を前提に、業界関係者全体で象徴的取組の一環として支援によって調達する。今後、建替実行委員会を設置して責任の所在を明確にし、具体的な建替計画の策定や資金調達などの着工準備を進めるとした。
提供:建通新聞社