国土交通省は、地方自治体発注の大型建築工事で入札不調・不落が多発している現状を踏まえ、公共建築工事の予定価格設定に関する対策案をまとめた。対策案ではまず、予定価格の設定に最新単価を使用することをあらためて要請した上で、建築工事で実勢価格との乖離(かいり)の恐れがある際に、業者・メーカーから集めた見積もりや過去の工事実績などを反映するよう求めた。さらに、最新単価を適用しても入札不調・不落になった場合は、入札参加者からも見積もりを提出させるよう求めている。
国交省は、公共建築工事で入札不調・不落が増加している要因として、予定価格を設定する際に▽適用単価が数カ月前の場合がある▽刊行物の掲載価格などが実勢価格の上昇に追いつかない▽見積単価の設定が市場実態と合っていない―などの課題を指摘。入札参加者が資材高騰などのリスクを嫌い、応札しないこともあるとみている。
こうしたことから、対策案では、予定価格を入札日直近の最新単価を適用して設定するようあらためて要請。予定価格を事前公表していても、直近の予定価格に基づき修正公告する必要性も訴えた。
公共建築工事で実勢価格の乖離が生じた場合の対策としては、材料価格・複合単価・市場単価について、業者・メーカーから見積提出を求め、単価設定に反映させる。その上で、過去の工事実績、経済環境、価格動向を総合的に考慮して見積単価を適切に設定するよう促している。
最新単価を適用しても不調・不落になった際には、入札参加者からも見積もりを提出してもらい、再度の不調・不落を避けるよう要請した。また、スライド条項の適切な設定と活用で、資材高騰リスクが原因の不調・不落を防止する。
国交省では、24日から全国8カ所で入札不調の状況や同省がまとめた対策案などに関する地方自治体との意見交換会を開いている。各自治体の実態を踏まえて対策を最終決定し、全国の都道府県・市町村に対策の実施を要請する。自治体からの公共建築工事の予定価格設定に関する相談を受け付ける「公共建築相談窓口」も設ける。
提供:建通新聞社