国土交通省は25日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」に、多様な入札契約方式の検討の方向性を示した。このうち「地域のインフラを支える企業を確保するための入札契約方式」では、災害協定締結を入札参加要件とし、日常の維持修繕と災害時の初動対応を包括的に発注する方式を提案。若手技術者の配置を促す入札契約方式はこれまでの配置促進策の効果を踏まえて2014年度から実施する。発注者が事業特性に応じて最適な入札契約方式を選択するための指針を策定する考えも示した。
地域のインフラを支える企業を確保するための入札契約方式は、地方圏の従業員10人以上の建設企業の大幅な減少や建設業者の建機保有台数の減少などの課題解消に向け、地域に精通し、災害時などに迅速に施工できる能力を持ち、一定規模の人員・資機材の体制がある企業に優先的に維持修繕工事などを発注する仕組みを検討。
同方式の対象には、維持修繕工事や災害発生時の初動対応など、地域の精通度が発揮されるものを想定しており、入札の参加要件として災害協定を締結していることを求める。共同受注を目的とする地域維持型JVや事業協同組合が整備されている地域などでは、包括発注の採用も検討する。
入札段階の評価項目は、国道事務所が災害協定を結ぶ企業を公募する際の評価項目(施工実績、資材置き場の状況、建機の保有状況など)を参考に設定する。
若手技術者の配置を促す入札契約方式については、各地方整備局で試行している配置促進策に関し、受発注者アンケートを行って効果と課題を検証。13年度中に実施方針をまとめ、14年度から直轄工事で段階的に実施する。
また、技術力で企業を選定した後で価格・工法を交渉して契約する「技術提案競争・交渉方式(仮称)」については、工事の性格上、仕様の確定が困難だったり、技術的工夫の余地が大きい工事などへの適用を見込んでいる。発注者は、予算額や事前に徴集した見積額から「参考額」を設け、技術審査で優先交渉権者を決めた上で、価格交渉を行う。優先交渉権者との交渉が折り合わない場合には、次点の交渉権者との交渉に移行する。
交渉成立後、交渉権者が示す施工方法と価格の妥当性を確認して予定価格を設定し、見積もり合わせを行った上で契約を結ぶ。
これらの多様な入札契約方式を中小規模の地方自治体でも導入できるよう、13年度中に発注者の体制・技術力などに応じた入札契約方式の適用条件を整理し、14年度以降に発注者向けの指針を策定する。
提供:建通新聞社