自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の公共工事契約適正化委員会が19日に開かれ、公共工事品質確保促進法改正案の方向性について議論した。改正案は現行法の基本理念や発注者責務に「中長期的な担い手の確保」や「ダンピング防止」などを追加する内容。野田毅委員長は会合で「改正法に罰則規定はない。改正法を根拠にした行政の運用が重要だ」と発言。事務局長の脇雅史参院幹事長も「法案成立後に行政が各地で説明会を開き、発注者に理念を浸透させる必要がある」などと話した。
品確法の改正法案では、建設投資の減少や競争激化で建設産業が担い手不足に陥っている現状を踏まえ、現行法の基本理念や発注者責務に▽中長期的な担い手の確保▽ダンピング防止▽インフラの維持管理の適切な実施▽地域の担い手確保への配慮―などを加える。
具体的には、発注者の責務に予定価格の適正な設定、最低制限価格・低入札調査基準価格の設定、インフラの維持管理の担い手確保に配慮した採算がとれる積算などを追加。また「交渉方式」「段階選抜方式」「複数年度契約」「複数企業による共同受注」などの多用な入札契約方式を法律に位置付け、各発注者が事業の性格や地域の実情に応じて選択できるようにする。
19日の会合に出席した議員は、改正法案に対して「中長期的に担い手を確保するためには、技術力審査や資格審査で、一定の受注の割振りをできる仕組みが求められるのではないか」「労務単価と実際の市場単価との乖離(かいり)が埋まらない」「指名競争入札の取り扱いをしっかり考えてほしい」などの考えを盛り込むよう要望。
こうした意見に対して脇参院幹事長は「現行制度では、発注者が個別に判断して対策を講じるためには勇気がいる。改正法案はこうした動きに対する『よすが』になる」と法改正の意義を強調した上で「改正法が成立したからといって全てがうまくいくわけではない。その後の行政の運用しだいなので、議連として今後も関与しなくてはならない」と続けた。
委員会では、年明けにも改正法案をまとめ、次期通常国会に議員立法として提出する。
提供:建通新聞社