国土交通省と日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の建設業4団体の幹部は19日に東京都内で懇談し、公共事業予算の確保・執行や人材不足への対応などについて意見を交わした。太田昭宏国交相は、2014年度予算編成の基本方針で計画的な社会資本整備の必要性が唱えられた点を強調しつつ、人材不足などを背景とした公共事業抑制論に触れて「意地でも(公共事業予算が)執行できるところを見せてほしい」と要請。団体側は公共事業予算の安定的・継続的な確保を求めながら、賃金の引き上げなどで「建設業を去った人たちに帰ってきてもらうことができれば、現在の人手不足には十分に対応できる」(中村満義日建連会長)と応じ、引き続き技能労働者の処遇改善に取り組む姿勢を示した。
太田国交相はまた、編成作業が大詰めの14年度予算で、公共事業費は「(前年度に比べ)横ばいよりもさらに少し上がると思う」との見方を強調。加えて、若年入職者の減少を捉え「このままでは地域の防災・減災ができなくなり、現場の力もなくなる」と指摘し、公共事業予算の確保・執行などを通じて「業界が誇りを持って日本の未来を切りひらいていけるようにしたい」と語った。
これに対し日建連の中村会長は「若者が自分の将来を託せる建設産業と思えるような国土のグランドデザイン、夢のある国土づくりに従事したいと思える計画をお願いしたい」と主張。また全建の淺沼健一会長は、技能労働者の処遇改善に向けた「公共事業のさらなる拡大」や「発注の平準化・通年化」を強く要望するとともに、「国土保全のビジョンを示してほしい」と訴えた。
全中建の松井守夫会長は、技能労働者の賃金確保に取り組みながらも「地方はいまだ『歩切り』をしている」ほか、「最低制限価格制度も国と異なるところが多い」と述べ、自治体に対するダンピング防止対策の徹底指導を求めた。
建専連の才賀清二郎会長は、社会保険未加入対策の柱となる標準見積書の活用が「地方都市ではまだまだ」で、専門工事業も「2次、3次に徹底できていない面がある」と説明。さらに、民間工事でも加入に必要な経費が認められるよう「強制力を持って進めてほしい」と要望した。
提供:建通新聞社