9月にスタートした法定福利費を内訳明示した標準見積書の一斉活用を踏まえ、国土交通省が行っている建設企業向けインターネットアンケートの中間集計(18日時点)で、標準見積書を実際に元請け企業に提出した下請け企業の55%が法定福利費を確保(一部含む)できたことが分かった。下請けから提出された標準見積書を元請けが一定程度尊重している傾向がみられた一方で、標準見積書を未提出の下請けも69%(未作成含む)に上り、周知不足などの理由で活用が十分に進んでいない傾向もみられた。
アンケートは、元請け・下請けの企業単位と各現場単位(工事契約の2割以上が元請けである建設企業の現場)で、標準見積書の活用・提出状況や標準見積書を提出された場合の対応などを尋ねる内容。10月30日に専用サイトを立ち上げ、インターネット上で回答を募っている。18日時点の回答は、企業単位が520件、現場単位が662件。
中間集計によると、法定福利費を内訳明示した見積書を全工事で提出している下請けは全体の12%。一部の工事で提出している下請けの19%を除く69%の下請けが標準見積書を作成していなかったり、作成していても提出していないと回答した。
標準見積書を提出したことがある下請けに、元請けの反応を尋ねる質問では「見積額全額が支払われた」が24%、「見積額は減額されたが、法定福利費は全額支払われた」が18%、「法定福利費の一部が減額して支払われた」が13%となり、合計で55%の下請けが標準見積書の提出が法定福利費の支払いにつながったとしている。ただ、提出した見積書を受け取ってもらえなかったり、無視された企業も10%いた。
標準見積書を提出しなかった理由を下請けに尋ねると「元請けが提出を求めてこなかった」が42%と最多で、「新労務単価が適用されない工事だった」の15%、「元請けが総価しか見ないので意味がない」の15%が次いで多かった。
一方、元請けに標準見積書を提出された場合の取り扱いルールの有無を問うと「定めている」は全体の15%にとどまったものの、「業界団体がルールを作成・通知すればそれを使用する予定」が44%、「今後自社で定める」が22%と、取り扱いに前向きな姿勢を示す回答も多かった。
元請けに対し、現場単位で下請けからの標準見積書の提示状況を尋ねる設問では、公共工事で70%、民間工事で76%の現場で「提示を受けたことがない」と回答。ただ、提示を受けた現場では、公共工事で68%、民間工事で34%が「見積額全額を支払う契約をした」と答えている。
提供:建通新聞社