国土交通省は25日、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会を開き、公共工事品質確保促進法、入札契約適正化法、建設業法の改正による「インフラの品質確保と担い手確保」に向けた制度改正の全体像を示した。議員立法として改正する品確法と同法に密接に関連する入契法と建設業法を「三位一体」で改正し、建設産業の担い手確保につなげる。それぞれに、「ダンピング防止」を入札契約適正化の柱として明確化(入契法)、担い手育成などに自主的に取り組む建設業団体に対する認定制度創設(建設業法)、多様な入札契約方式の導入(品確法)などを盛り込む方針を示した。
品確法は、自民党の品確議連が「中長期的な担い手の確保への配慮」を明確化する方向で、改正内容を検討している。具体的には、地域の実情を理解している企業を公募型プロポーザル方式で選定する方式、補修工事への設計施工一括発注、複数業務(点検、清掃、補修など)の包括発注・複数年契約―など、多様な入札契約方式を改正法の条文に位置付け、発注者が活用しやすくする。
地方自治体のマンパワー不足に対応するため、法改正後に関係者間で自治体向けの基準・マニュアルを策定することも検討。建設企業や自治体向けの技術講習・研修の充実を図り、建設企業には研修への参加を入札参加条件とすることで、一定の技術水準を担保する。
議員立法である品確法の改正を踏まえ、閣法の入契法と建設業も改正する。入札契約制度の透明性確保と情報公開を念頭に制定された入契法には、その後の公共調達の現状や建設業の疲弊などを踏まえて「ダンピング防止」を新たな概念として追加する。具体的な施策として、入札時の入札金額の内訳書提出の義務化、公共工事における施工体制台帳の提出義務拡大などを進める。
建設業法の改正では、担い手育成のための研修や請負契約の適正化などに取り組む建設業団体に対する認定制度を創設する。行政が個別企業と向き合うことには限界があることから、担い手確保や請負契約の適正化などに取り組む建設業団体を認定し、行政と連携して課題に対応してもらう。
また、建設業法には暴力団排除の規定がないことから、今回の改正のタイミングに合わせ、建設業許可の欠格要件と許可取消理由に追加する法令上の措置を講じる。入契法にも、暴力団関係者であることが判明した場合に、発注者が建設業許可部局に通報する仕組みを導入する。
基本問題小委員会は年明け1月に開く次回の会合で、最終報告をまとめる予定。
提供:建通新聞社