全国中小建設業協会(全中建)は、公共工事設計労務単価の引き上げに伴う、技能労働者への適切な賃金水準確保などについて、会員の取り組み状況をアンケート調査した。それによると、公共工事設計労務単価の引き上げ幅について59%が「小さい」と答えるなど、まだまだ実勢との間に開きがあるとし、さらなる引き上げの要望が強い。また、国交省の指導により市町村が単価を引き上げているとの回答が約7割あったが、一方で市町村でいわゆる「歩切がされている」との回答も約半数を占めていて、実質的に労務単価引き上げが生かされていないことを示している。23日に国交省で行われた「フォローアップ会議」で報告した。
調査は10月2日から9日かけて実施。会員の1割程度に当たる235社を対象とし、224社から回答を得た。
回答企業は67%が資本金1000万円〜5000万円、業種は土木・建築が54%、土木が34%、建築が12%。
2013年度の公共工事設計労務単価の引き上げについては87%が「評価している」と回答しつつも、引き上げの幅については半数以上の59%が「小さい」とし、実勢価格との比較でも69%が「低い」と回答した。
一方、発注者別に引き上げた単価で積算しているかについて聞いたところ、都道府県は86%、市町村も74%が「引き上げて積算している」と回答した。ただ、市町村でいわゆる「歩切されていると思う」との回答が51%にのぼり、都道府県も25%あった。
また「技能労働者に手当を上乗せしましたか、しますか」との問いでは、「賃金または一時金など何らかの形で支払う」が36%、「技能者労働者がいない・検討中」などが33%。「しない」も30%あった。さらに、下請けに対して「手当を上乗せして支払っている・支払う」かとの問いに「はい」と答えたのは56%、「検討中など」が22%。「いいえ」という回答も22%あった。
今回のアンケート結果から全国中小建設業協会は、発注者段階の「歩切」で労務単価引き上げ効果が技能労働者まで行き渡らないことになるとして、市町村を指導するよう国に要請。また、技能労働者の手当への反映などについて会員へ周知徹底を図っていくとした。
提供:建通新聞社