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2013/10/24

石綿の敷地境界基準、目安は「1リットル当たり1本」 環境省の専門委

 石綿繊維数濃度の敷地境界などにおける管理基準の目安は1リットル当たり1本、大気濃度測定義務付けは見送り―。中央環境審議会の石綿飛散防止専門委員会(委員長、浅野直人福岡大学法学部教授)は23日、建築物の解体現場などにおける大気中の石綿測定方法、同評価方法、大気濃度測定の義務付けの要否を検討していたアスベスト大気濃度調査検討会からの報告を了承した。大気汚染防止法(大防法)施行規則改正の概要がほぼ固まったことから、環境省は同委員会、同検討会の検討結果を踏まえ、改正大防法の2014年4月1日施行に向けてパブリックコメントなど省令改正作業を進めていく考えだ。
 検討会の報告は、大防法は一般大気環境への影響を確認・防止するという目的に照らした場合、敷地境界などにおける大気濃度測定が基本だとした。その一方で「現時点では測定個所の選定、分析方法など克服すべき課題が残っている」と指摘。当面の措置として、集じん・排気装置が使用されている全ての特定工事を対象に、集じん・排気装置からの粉じんなどの漏えいの測定を義務付けるよう求めた。大気濃度測定については、集じん・排気装置からの影響を確認することで、効果的に石綿の漏えいを防止できるなどとして、今回の改正での義務付けは見送った。
 敷地境界などにおける大気濃度測定については、現状の一般大気環境中の総繊維数濃度を参考として石綿繊維数濃度1リットル当たり1本とした。測定箇所の選定については、環境省アスベストモニタリングマニュアル(第4版)に定めた方法が適切とした上で、試料の採取時間については、作業開始直後から2時間で十分との見解を示した。
 懸案の一つとなっていた分析方法については、「総繊維数が1リットル当たり1本を超えた全てのケースで、電子顕微鏡での計測の義務付けを課すのは厳しい」との指摘があったことから、▽位相差・顕微鏡法で総繊維数濃度を求める▽総繊維数濃度が1リットル当たり1本を超えた場合、位相差・偏光顕微鏡法により石綿繊維数濃度を求める▽石綿繊維数濃度が1リットル当たり1本を超えた場合は、電子顕微鏡法により石綿繊維数濃度を求める―という分析手順を示した。
 その上で、位相差・偏光顕微鏡法は、石綿飛散の有無をセキュリティゾーンの出入り口付近や集じん・排気装置排気口で、短時間のうちにオンサイト分析できる点で有効な手法―などと評価。将来的には解体現場などの管理に適した測定方法になるとの見方を示し、偏光顕微鏡での分析に習熟した人材育成の必要性や、公定法として採用することの妥当性についても検証する必要があると指摘した。
 
提供:建通新聞社