国土交通省は、2013年度公共工事設計労務単価の引き上げに伴う技能労働者の賃金水準実態調査の中間報告をまとめた。これによると、調査対象のうち35・5%の企業が4月以降に何らかの形で賃上げを行ったと回答(予定含む)。引き上げの理由として「労働者確保のため」などと並んで「業界の発展に必要」や「設計労務単価の上昇」を挙げる企業が多かった。引き上げられない理由では「請負額が低く費用を捻出できない」との回答が4割を超えた。
実態調査では、毎年行っている「下請取引等実態調査」(約1万4000社対象)に賃金水準や社会保険加入に関する設問を追加したり、直轄工事の応札状況、他府省の統計調査なども含めて、複合的に新労務単価が技能労働者の賃金に反映されているかどうかを調べた。
国交省は、4月以降の直轄工事の応札率が前年度並みに推移し、労務単価の上昇に伴う賃金原資が受注者に移動していることを確認。その上で4月以降の賃金水準に関する設問に対しては「引き上げた」が35・5%、「引き上げていない」が33・6%、「引き下げた」が0・6%(いずれも予定含む)、「無回答」が30・3%だった。
賃金水準を引き上げた理由を問う設問(複数回答)には「業績好調で引き上げのための資金を確保できた」と「労働力確保のため」を選択した企業がいずれも17・3%と最も多かったが、賃金水準確保の取り組みを反映したとみられる回答も「業界の発展に必要」が17・2%、「設計労務単価の上昇」が16・7%とほぼ同じ割合だった。
一方、賃金を引き上げない理由については「請負額が低く費用を捻出できない」が42・8%で最多。「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」の29・5%、「引き上げに回す余裕がない」の18・5%などが続いている。
社会保険加入については、3保険(年金保険、健康保険、雇用保険)に加入する企業は92・2%で、未加入企業のうち62・8%が「今後加入予定」と回答。加入する理由としては「未加入だと入札資格審査を受けられない」「未加入だと元請けから工事を受注できない」「許可行政庁から指導を受けた」が多い。
加入しない理由としては「元請けや発注者が法定福利費相当額を含む引き上げに応じない」「民間工事の請負額が低く、法定福利費を捻出できない」「経営の先行きが不透明で加入に踏み切れない」などと答える企業が多かった。
提供:建通新聞社