建設経済研究所は21日に発表した「建設経済レポート」で、建設業就業者数の需給ギャップの将来予測を行った。建設投資額が2012年水準で推移したと仮定した場合、就業者数は2025年までに12年比41・9%減の240万5000人になると推計。若年入職者の増加、中堅層の離職率低下などの「楽観的な仮定」をおいてようやく、就業者数は3・2%減の400万9000人になるとしている。同研究所では「人材確保・育成を先送りせず、着実に進めることが、10年後に生き残る鍵になる」としている。
建設業就業者数は、バブル経済に比例する格好で増加を続け、1985〜95年の10年間に約136万人(25・8%増)増加したが、96年以降の市場縮小とともに減少の一途をたどり、95年から2010年の間では約216万人(32・6%減)が減った。最近の建設業の受注環境は回復基調にあるが、一方で若年・中堅層の増加を上回る高年齢層の大量退職が懸念されている。
建設経済研究所が行った需給ギャップ推計では、基準年に設定した12年度と比べ、建設業就業者数にどの程度の過不足が発生するかを予測。12年度の就業者数は国勢調査の結果から算出した414万人としているが、これが25年には173万5000人減少し、240万5000人になると推計。
この推計に@若年層補正(15〜24歳の入職率が00年レベルまで回復)A中堅層補正(25〜59歳の純減ゼロ)B高年齢層補正(退職延期で60〜69歳の減少率が半分)―の補正を掛けると、就業者数は3・2%減の400万9000人と横ばいになると分析。地域別にみると、近畿圏のみが1・4%の増加を見込んでいるが、2年後の27年には減少に転じるとの予測を示している。
ただ、同研究所では今回の推計に使ったこれらの補正が「かなり楽観的な内容」と認めており「楽観的な仮定をおいてもなお就業者数が減少することが分かった」としている。例えば、中堅層の純減ゼロにしても、建設投資が回復に転じたとはいえ「建設業の赤字体質が改善されなければ実現しない」と厳しい見方を示した。
また、東日本大震災の復興事業のピークが過ぎると建設業就業者数が過剰になるとの見方に対しては「その他の地域では、早晩人手不足になる」と予測し、政府と建設業界が一体となり、就業者の処遇改善や建設業のイメージアップなどに取り組む必要性を訴えている。
提供:建通新聞社