国土交通省は18日、センサーなどを使って構造物の状態変化を把握するモニタリング技術を社会インフラ分野に普及させるため、有識者らを集めた「社会インフラのモニタリング技術活用推進検討委員会」の初会合を開いた。モニタリング技術は社会インフラの劣化を把握する際、損傷の早期発見や効率化に役立つことが期待される一方、高コストや精度・信頼性などの課題がある。委員会では、こうした課題を踏まえてモニタリング技術に備えるべき要件を整理し、年内にも直轄事業の現場で行う実証実験の対象技術を公募する。
モニタリング技術は、構造物などの状況を常時(もしくは複数回)計測し、状態の変化を客観的に把握する技術で、ある時点の状態を計測する点検とは、構造物の状態の推移を含めて計測できる点などが異なる。
河川堤防や橋梁、トンネルなどに固定型のセンサーやカメラを設置したり、センサーやカメラを設置した車両を使い、移動しながらインフラを監視する手法などが既に活用されている。センサーなどで得られたインフラの劣化・損傷データは、有線や無線で収集され、管理者が劣化度に応じて補修・修繕を行う。
ただ、モニタリング技術の課題も既に浮き彫りになっている。国交省は18日の会合で▽システム導入・維持が高コスト▽精度・信頼度が低い▽風雨・地中・海中などでの計測に耐えられない▽計測データが大量で処理・分析の負担が大きい―などの課題を例示。
委員の間からも「センサーの寿命が1年も持たない。センサーの長寿命化が必要」「オーバースペックのものが多く、高コストになるため、財政状況が厳しい地方自治体では適用が難しい」などの声が挙がった。
国交省は委員会での議論を通じ、老朽化対策を進める際の大前提となる各施設の状態把握を効率化し、財政が逼迫(ひっぱく)し、技術者不足に悩む地方自治体でも現場適用が可能になるよう、モニタリング技術の課題を整理する。11月下旬に開く次回会合でモニタリング技術の現場適用に当たっての要件を整理し、実証事業を行う現場選定の方針などを決める。年内にも対象技術を公募し、2014年度から実証実験をスタートする。
提供:建通新聞社