政府は国・地方自治体が管理するインフラの老朽化対策を推進するための関係省庁連絡会議を設置し、16日に初会合を開いた。急増する老朽インフラや財政制約を踏まえ、国・自治体が管理する全インフラの長寿命化を進める際の基本方針となる「インフラ長寿命化基本計画」を11月中に策定する。民間に新技術の導入・開発を促して「メンテナンス産業」を育成し、この分野の底上げにもつなげる。基本計画で示す方向性に従い、国の各省庁・都道府県・市町村が全インフラの長寿命化を図るための行動計画をまとめる。
政府は6月にまとめた日本再興戦略の中で、インフラ長寿命化基本計画をまとめ、数値目標やロードマップを明確にした上で、インフラの安全性向上とライフサイクルコストの縮減に取り組むとしていた。連絡会議では、施設ごとの長寿命化を進める上での各施設の共通課題を整理し、11月下旬に開く次回会合でこの基本計画をまとめる。
基本計画の策定に向け、連絡会議では「点検・診断」「個別施設ごとの長寿命化計画の策定」「修繕・更新」で構成するインフラの維持管理のPDCAサイクル(メンテナンスサイクル)の構築に加え、施設データを着実に収集・蓄積するための電子化・フォーマットの統一や同一の評価尺度の仕組みなども検討する。
レーザースキャナを使った非破壊検査、センサー・ロボット・ITを組み合わせた新たな維持管理手法など、新技術の開発によるメンテナンスサイクルの底上げや産業競争力の強化も図る。管理実態を踏まえ、施設の管理者が取り組むべき共通事項や責務を明確化するなど、基準類や法令などの整備も課題となる。
初会合では、基本計画を策定する際の基本認識として、政府全体で進めるインフラの長寿命化を施設の寿命を延ばすライフサイクルの延長にとどまらず、更新を含めた将来にわたってインフラの機能を維持につなげることを確認。また、維持管理段階だけでなく、新設・更新段階で長寿命化対策を検討することで認識を一致させた。
提供:建通新聞社