全国建設業協会(全建)傘下の都道府県建設業協会と国土交通省が地域単位で意見を交わす「地域懇談会・ブロック会議」が3日、関東甲信越ブロックを皮切りにスタートした。同日の関東甲信越地方ブロック会議では、地域建設業の再生・発展に向けた総合的な対策や、予定価格の上限拘束性の見直しなどを国交省に要望。併せて、2013年度補正予算の早期編成や、国土強靭(きょうじん)化に向けた社会資本整備の計画的な推進などを盛る6項目の決議を採択した。
冒頭のあいさつで関東甲信越地方建設業協会の本間達郎会長(新潟県建設業協会会長)=写真=は、当初予算での継続的な公共事業費の確保や、社会保険未加入対策などの重要性を力説。その上で「私たちが将来にわたって地域の安全確保と活性化に貢献し続けることができるよう、変化の本質を見据えながら建設産業の再生に本腰を入れて取り組む決意だ」と語った。
要望のうち地域建設業の再生・発展に向けた総合的な対策をめぐっては、埼玉県建設業協会が「現行の入札契約制度では過度な受注競争の結果、適正な利益の確保が困難」であり、「国関係機関発注工事の県内企業の受注状況は(政府が56・6%とした13年度の)契約目標を大幅に下回る状況が続いている」と主張。
社員の処遇悪化や技能労働者の建設業離れなどに対する懸念も踏まえ▽将来にわたり公共投資を拡充・強化する▽職場環境の実態に則した工期を設定する▽国の発注で県内企業の受注率を50%以上に高める―ことなどを求めた。
また、予定価格の上限拘束性などに関しては、長野県建設業協会が「資材の価格を値切るか、できなければ会社の利益分を充て、さらに赤字となれば技能労働者へのしわ寄せをせざるを得ない」と公共工事の受注環境を説明した。加えて、中央公契連モデルで一般管理費の算入率が5月にアップしたものの、調査基準価格の設定範囲は予定価格の90%が上限となっていることから「引き上げ効果が頭打ちだ」と指摘。その打開策として、予定価格を「標準価格」と位置付けるとともに、調査基準価格をさらに引き上げて設定範囲の90%上限を見直すよう訴えた。
このほか▽公共事業予算の安定的・持続的な確保(新潟県建設業協会)▽脆弱(ぜいじゃく)な国土日本における国土強靭化の重要性の国民への理解向上(茨城県建設業協会)▽市場単価の見直し(山梨県建設業協会)▽物価の変動などによる請負代金の変更(スライド条項、長野県建設業協会)―に関する要望を行った。
関東甲信越地方ブロック会議で採択した決議6項目の主な内容は次の通り。
▽2014年度当初予算での公共事業予算の増額確保、13年度補正予算の早期編成
▽国土強靭(きょうじん)化に向けた社会資本整備の計画的な推進、迅速・機能的な災害対応体制の整備
▽自治体におけるダンピング対策のさらなる徹底、適正な総合評価方式の普及拡大
▽入札契約制度で地域の建設企業が社会的責任を的確に果たせるような全体的な仕組みの早期構築、市場単価の見直し、中小建設業に配慮したスライド条項の見直し、調査基準価格公契連モデルにおける設定範囲の上限撤廃、予定価格の上限拘束性の撤廃に向けた関係法令の改正
▽建設労働者の賃金水準のさらなる引き上げ、資材価格の実勢価格を早期・適正に反映する積算システム、的確な設計変更手続きに基づく適正な支払い
▽「建設産業の再生と発展のための方策2012」の早期・具体的な実行
提供:建通新聞社