全国建設産業団体連合会(全国建産連、北川義信会長)は9月26日、長野市で全国府県建産連会長会議を開き、国土強靭化計画の早期具現化による社会資本整備予算の確保など7項目を関係機関に要望することを決議した。また、技能者労働者の適正な賃金確保・支払いと社会保険未加入対策の推進について決議。建設業の川上から川下まで網羅した組織の特徴を生かし、各会員団体・企業に具体的な行動を要請することにした。
冒頭、開催県を代表して長野建産連の藏谷伸一会長があいさつ。「国土強靭化や震災復興はもちろん、東京五輪、リニア新幹線などわれわれの出番はますます多くなる」と建設産業が果たす役割の重要性を強調。北川会長は「安心・安全な社会のためには建設産業の健全な発展が必要」とした上で、「経営合理化や生産性向上、適正利潤の確保に努めなければならない」と述べた。
会議では、各府県建産連が提案議題を説明。公共事業費予算の継続的確保(山梨ほか)、若手技術者の確保・育成(長野)などを求めた。宮城など東日本大震災の被災県からは、資材の安定供給、資材単価への臨機応変な対応といった議題が示された。
これに対して国土交通省は、公共事業費について「地域の建設産業が中長期的な見通しを立てられるよう予算確保に努める」と回答。若手技術者の確保・育成では、1級土木施工管理技士の受験資格要件緩和など中央建設業審議会での審議状況を説明。被災地での資材供給、単価については、「状況を見て必要な対策を講じる」と応じた。
会議ではこれらを踏まえ、▽国土強靭化基本法制定と国土強靭化計画の早期具現化のよる社会資本整備に必要な事業予算の確保▽予定価格の事前公表・上限拘束性の撤廃、公共調達新法の早期制定▽公共工事設計労務単価決定方法の抜本的見直し、大幅な単価引き上げ▽中小建設業者の十分な受注機会確保▽「地域建設業経営強化融資制度」「下請債権保全事業」の充実▽工事請負契約書にかかわる印紙税の課税廃止▽元請下請取引の適正化―の7項目を決議した。
技能労働者の適正賃金の確保・支払い、社会保険未加入対策推進についての決議は、公共工事設計労務単価の大幅改定や低入札価格調査における調査基準価格見直しなど国土交通省による各施策を受け、その普及・実施を目的としている。決議文には、適切な賃金水準の確保と支払い、社会保険加入と法定福利費を適切に含めた下請負契約、必要な諸経費を適切に含めた工事原価に基づく価格での契約締結―の3項目を明記した。
会議ではこのほか、今年7月に設立を果たした長崎建産連(谷村隆三会長)が紹介された。次回の全国会長会議は佐賀県での開催が予定されている。
なお、会長会議終了後には臨時総会を開催。役員の辞任に伴う補選を議題とし、新理事として柏木忠邦氏(山梨建産連副会長)、新監事として赤松泰則氏(徳島建産連会長)をそれぞれ選任した。
提供:建通新聞社