自民党の国土強靭化総合調査会は29日、内閣官房が説明した2014年度予算の国土強靭(きょうじん)化関係概算要求について了承した。関係する各府省がまとめた概算要求のうち、内閣官房が示した国土強靱化のプログラムに該当する事業費は少なくとも5152億円に上り、前年度と比べ42%の大幅な伸びを見せている。調査会終了後に会見した同調査会の二階俊博会長は「政府予算案で優先的に認められるよう、調査会としてもしっかり働き掛けていく」とコメントした。
国土強靭化について内閣官房は、有識者による「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」で、災害発生時に「起こってはならない事態」として45のプログラムをまとめた。このプログラムの中でも▽大規模津波などによる多数の死者の発生▽長期的な市街地の浸水▽エネルギー供給の長期途絶▽農地・森林の荒廃による被害の拡大―などについては、重点化すべき15のプログラムとして設定した。
14年度予算の概算要求では、各府省がこのプログラムに沿って国土強靭化関係予算5152億円を要求。このうち、重点化すべき15のプログラムに対応する予算は4666億円となり全体の約9割を占めた。
ただ、要求額は国土強靭化関係に特定できるものに限って積み上げており、例えば「道路整備事業費1兆5371億円の内数」などと、金額を確定できない予算額は含まれていない。
二階会長は今回の概算要求について「概算要求基準によると、各府省の要求額の上限は前年度比17%増までとなっている。国土強靭化に対して思い切った増額要求をしてくれた」と評価した上で「国土強靭化は喫緊の課題であり、災害から人の命を守るのは政治の責任だ」と、調査会として要求予算を後押しする考えを語った。
また、継続審議となっている「防災・減災に資する国土強靭化基本法案」については「秋の臨時国会で1日も早く成立させ、国土強靭化の本格的な取り組みを強力に進める」との意欲を示した。
提供:建通新聞社