文部科学省は2014年度予算概算要求で、公立学校施設整備費として約2800億円を盛り込む。倒壊の危険性がある学校の耐震補強や建て替えに約1920億円、照明器具や天井など落下防止対策に約180億円を計上。また、私立学校の耐震改築(建て替え)に対する補助制度を創設するほか、耐震改修の補助率をかさ上げし、国公立と同様に2015年度の耐震化の完了を目指す。私学耐震改築事業の要求額は調整中。
老朽化施設の改修や防災機能強化工事などには約480億円を計上。備蓄倉庫、自家発電設備などを整備するほか、トイレ改修、太陽光発電の導入、空調設置などを行う。教育環境の改善事業などでは約220億円を要求。小学校、特別支援学校の教室不足に対応するための新築、増築を行うほか、バリアフリー対策、アスベスト対策、法令に適合させるための工事、学校プールなどの体育施設、学校給食施設などの整備を行う。
文部科学省によると、公立小中学校施設の耐震化率はことし4月1日現在で88・9%。いまだに耐震性がない建物が1万3412棟も存在し、大地震で構造体に大きな被害が発生する恐れがある。また、つり天井がある体育館などは6554棟に上り、構造体の耐震性が確保されていてもつり天井が落下する危険性がある。
一方で私立学校も地域住民の応急避難場所となっており、耐震化の加速が重要になっている。ただ、補強では対応できないケースがあり、耐震化の進捗(しんちょく)を妨げていることから、耐震改築(建て替え)に対する支援が必要になっているという。
自民党の学校施設耐震化等整備促進議員連盟は28日の総会で、公立学校と私立学校で耐震化率などの格差が生まれないよう@地域の防災拠点などを目指す私学の耐震改築補助事業の創設A耐震改修の補助率かさ上げB2015年度までの耐震化完了を目指し取り組む―などを決議した。
提供:建通新聞社