厚生労働省は8月23日、建築物の解体などにおける石綿ばく露防止対策について技術的検討を行う専門家会議を設置した。除去作業時の漏えい監視措置や、石綿が使用されている建物内で作業する際の「発注者による配慮」などについて、労働安全衛生法石綿障害予防規則(石綿則)の改正を視野に入れた検討を行う。10月中にも検討結果を報告書にまとめ、石綿則改正の必要性について判断する。
会議では、石綿含有煙突(レベル2建材)の劣化への対応や、設備点検などの業務を請け負い、他者が所有する建物に入る労働者に対する「発注者による配慮」についても検討する。
同省化学物質対策課の調べによると、労働安全衛生法第88条が規定する耐火建築物などの吹付け材除去に関する計画届出件数は、2012年度で4001件。また、石綿障害予防規則第5条が規定する保温材・耐火被覆材除去などの作業届出件数も合計5513件を数えている。
一方、同省が東日本大震災の被災地のがれき処理現場や建築物の解体現場で行った石綿の気中濃度モニタリングでは、気中石綿濃度が1リットル当たり10本を超えた、石綿が漏えいしたとみられる事案が11年度に6現場、12年度にも4現場で見付かっており、これらの作業時の石綿の漏えい・飛散防止の徹底が急務となっている。
今後、国内のストック建築物が老朽化することによって解体工事などがさらに増加するとも予想されていることから、同省は、環境省が検討を進めている大気汚染防止法の一部改正に伴う同法施行令の一部改正に向けた議論を踏まえ、建築物の解体などにおける石綿ばく露防止対策をさらに強化していく方針だ。
提供:建通新聞社