国土交通省は、インフラ維持管理への複数年契約やCM方式など、多様な入札契約方式の導入に取り組む地方自治体に専門家を派遣するモデル事業を2014年度に立ち上げる方針だ。建設コンサルタントや会計士、弁護士などの専門家を国交省の費用負担で派遣し、多様な入札契約方式を導入する意思はあっても、ノウハウ・マンパワー不足を理由に導入に踏み切れない自治体を後押しする。モデル事業で得られた成果を活用し、発注者向けマニュアルも作成する。
国交省の14年度概算要求に2億5000万円を新規で盛り込む。市区町村・都道府県を対象に10件程度のモデル事業を行う考えでいる。
国交省では、建設産業の中長期的な担い手の確保、公共工事における行き過ぎた価格競争の是正、発注者のマンパワー不足などの課題を解消するため、7月から中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会で、入札契約制度改革の方向性などについての議論を開始した。
この中では、これまでの画一的な入札契約方式から、時代のニーズや事業特性に応じて選択できる多様な入札契約方式について検討することになっている。具体的には▽インフラ維持管理への複数年契約・複数業務の一括発注▽技術的難易度が高い工事でのプロポーザル方式▽CM方式▽オープンブック方式▽コスト&フィー方式―などが示されている。
小委員会では、改革の方向性を年内にもまとめる予定だが、国交省が多様な入札契約方式を示しても、自治体などの発注者にそれを選択する専門知識や体制が整っていない、などの指摘もある。
モデル事業は、こうしたノウハウやマンパワーが乏しい自治体を支援し、多様な入札契約方式を普及させる目的で創設する。国交省は自治体からモデル事業を募り、有識者らの意見も踏まえて対象を選定する。
モデル事業に選ばれた自治体には、国交省から業務委託などを受けた建設コンサルタント、弁護士、会計士らの専門家を派遣し、各自治体が抱える課題の抽出、解決策の検討、制度設計に対する助言などを行う。モデル事業を通じて得られた知見を14年度中にも発注者向けマニュアルとしてまとめ、全国の自治体で多様な入札契約方式の導入を検討する際に活用してもらう。
提供:建通新聞社