国土交通省は20日、静岡県富士市と神奈川県横須賀市で発生した屋内プールの天井脱落事故を受け、関係省庁や都道府県に対し、大規模空間を持つ建築物の吊り天井に対する脱落対策の実施を求める通知を送った。想定される事故原因を踏まえ、天井面のゆがみなどを目視で点検し、脱落の恐れがある場合に天井下の立入制限や天井落下防止措置を講じるよう求めた。
7月14日に発生した静岡県富士水泳場の天井脱落事故は、野縁と野縁受けを接合するクリップが広範囲にわたって外れ、重さに耐えきれず天井が脱落したとみられている。同月27日に発生した横須賀市立北体育館の天井脱落事故では、天井面の段差部分で応力集中が生じて接合部が破損し、天井が脱落するに至ったと想定されている。
現段階で想定されるこうした事故原因を踏まえ、国交省は、吊り天井が設置された大規模空間(天井高6b超の部分が面積200平方b超)のある建築物のうち、完成後に震度4以上の地震が観測されたものについて対策を講じるよう要請。
対象となる建築物には、屋内プールのほかに▽体育館▽劇場▽音楽ホール▽映画館▽展示場▽宴会場▽講堂―などが考えられるという。
具体的には、天井面のゆがみや垂れ下がりの有無、天井裏、クリップなど天井材の外れを目視で点検。天井材の外れなどの異常が発見された場合には、天井下の立入制限や天井落下防止措置などを行うよう求めている。
また、国交省は、事故のあった建築物を所有する地方自治体が行っている調査で、詳細な事故原因が判明した段階で、あらためて情報提供を行うとしている。
提供:建通新聞社