全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)は適切な労働賃金の確保・支払い、社会保険への加入促進などについて会員企業にあらめて周知徹底していくとともに、現状把握のためのアンケートやヒアリングを実施していく方針だ。中小建設業者の受注工事の大半を占める市町村工事では「労務単価がまだ引き上げられていない」「根拠のない歩切りがある」との指摘があるため、特に市町村の労務単価や最低制限価格の設定状況、歩切の実態などについて調べる。12日の正副会長会議で取り組み方針を確認した。9月4日の理事会に諮り正式決定する。
適切な賃金の確保・支払い、社会保険への加入促進については、ことし4月に太田昭宏国土交通大臣が主要建設団体に直接要請。全中建では、この要請に応えるため取り組むことを理事会で決議し、会員団体と会員企業に周知した。
今回はさらに周知徹底を図るため、周知方法を検討。9月から11月にかけて各地の会員団体、会員企業との意見交換会を行うほか、アンケートを実施する。国土交通省や全中建の取り組みについて会員企業がどこまで理解しているかや、下請け会社の状況などをアンケートやヒアリングを通じて把握する。
また、公共工事設計労務単価はことし4月から平均15%引き上げられているが、発注機関によっては対応が異なるため、各発注者の対応状況を調査する。特に市町村では最低制限価格を低く設定したり、積算後に根拠のない歩切で予定価格を引き下げたりしているとの指摘があるため、最低制限価格、歩切りの現状をできるだけ全国的に調べる予定だ。
全中建では、労働者の賃金引き上げが若者の入職増加のために重要であると認識しているが、発注者の単価引き上げがなければ、元請け企業の支出だけが大きくなることも懸念している。市町村の労務単価設定などの実態調査の結果を国に報告し、単価引き上げの徹底をはじめ、発注の平準化と長期的に安定した発注を関係機関に要請していく。
具体的な中身は、建設業振興対策委員会と労働資材対策委員会の合同委員会で検討する。
提供:建通新聞社