文部科学省は、地方公共団体の財政負担軽減措置を講じている2015年度末までに公立学校施設の非構造部材の耐震対策を終えるよう、47都道府県の教育委員会委員長をはじめとする学校設置者への働き掛けをさらに強化する方針だ。
文科省が行った2015年度「公立学校施設の耐震改修状況調査」の結果によると、公立小中学校の建物の構造体の耐震化率は88・9%まで進捗(しんちょく)しているものの、屋内運動場の吊り天井を除く非構造部材の耐震対策の実施率は60・2%にとどまっている。
築後25年以上が経過している公立学校の要改修施設は、全保有面積1億5193万平方bのうち9934万平方b(65・4%)を占め、築後30年以上が経過している施設は10年前の2・5倍を超えている。特に、東京都や大阪府、愛知県などの大都市圏は築後30年以上の施設の保有割合が高い傾向にあることも分かっている。
文科省は、地震防災対策特別措置法が11年3月に改正され、公立学校施設の耐震化事業に対する国庫補助率の嵩上げ措置が15年度末まで延長されたことを踏まえ、11年5月に施設整備基本方針と同基本計画を改正。公立学校施設は地震などの災害発生時に応急避難場所になるため、建物自体だけでなく、天井材や外装材など非構造部材の耐震化も同時に推進するよう学校設置者に求めていたが、構造体の耐震化に比べ、非構造部材の耐震対策への取り組みには遅れが目立つようになっていた。
提供:建通新聞社