国土交通省は、下請け代金の適正な支払いや施工管理の徹底を促す、いわゆる「盆暮れ通達」を建設業団体などに送付した。今回は2013年度の公共工事設計労務単価の大幅な引き上げに伴い、技能労働者の賃金を適切な水準で支払うようあらためて建設業界に要請。14年4月に控える消費増税について、ことし10月1日以降に結ぶ下請け契約で、増税分の転嫁拒否を行わないよう元請け企業に対して求めている。
土地・建設産業局長名の「下請け契約及び下請け代金支払いの適正化並びに施工管理の徹底等について」は、資金需要が増える夏季と冬季の年2回発出する。今回は建設業団体100団体に2日付で送付した。
技能労働者の賃金については、国交省が技能労働者不足や社会保険加入の徹底を踏まえ、13年度の労務単価を全国全職種平均で15・1%引き上げたことを踏まえ、適切な水準での支払いをあらためて要請した。具体的には、各団体と会員企業に対して、適切な価格での下請け契約の締結、社会保険への加入徹底、重層下請構造の改善などに積極的に取り組むことを求めている。
一方、消費税率の引き上げをめぐっては、ことし10月1日以降に契約を結び、14年4月1日以降に引き渡しを行う工事の請負契約で経過措置が講じられ、新税率の適用が始まる。このため、10月1日以前に発注者と元請けが契約を結び、10月1日以降に下請け契約を結ぶケースで、元請けが旧税率での契約であることを理由に、下請け契約への転嫁を拒否することが懸念されている。
通達では、6月に成立した「消費税転嫁対策特措法」で、一方的に消費税額を削減する転嫁拒否行為が禁止されているとした上で、建設工事の元下契約でも転嫁拒否行為を行わず、新税率を適用するよう求めた。
このほか、下請け代金の設定について、施工責任範囲や施工条件を反映した合理的なものにするため、書面による見積もり依頼と建設業法で定める見積もり期間の設定、明確な経費内訳による見積書の提出など、従来の通達に盛り込まれている内容をあらためて要請。特に、9月をめどに専門工事業団体が作成した標準見積書の一斉活用が始まることを踏まえ、法定福利費が内訳明示された見積書の提出と元下間の協議でこれを尊重することを合わせて求めている。
提供:建通新聞社