国土交通省は「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」を7月30日付けで官報に公示した。同省は登録機関となるための要件を満たした機関が実施する講習を修了した者に、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を付与する。将来的には、この調査者が建築物の石綿調査や工事完成検査に従事することを国庫補助の要件にすることも想定している。
国交省は、▽登録規定に定める適切な講習が行われる▽一定の資格を有する講師が講習に従事する▽一定の中立性がある―などの要件を満たした法人などを登録講習機関として認める。登録の有効期間は5年間。
登録講習機関は、▽建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識▽石綿含有建材の建築図面調査▽現場調査の実際と留意点▽建築物石綿含有建材調査報告書の作成▽成形板などの調査―の五つの講義を行うとともに、石綿含有建材が用いられている実際の建築物で実地研修(演習)を実施。その上で、筆記試験と口述試験を行い、合格者に修了証明書を交付する。
受講資格は、▽大学や短期大学などで建築学などの課程を修めて卒業した後、建築に関して3年以上の実務経験を有する者▽建築行政に関して2年以上の実務経験を有する者―などに与える。
登録講習機関は、社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会のワーキンググループ(WG)が作成した「建築物石綿含有建材調査者育成プログラム」に基づく講習を毎年1回以上実施する。
同省は2007年12月、総務省から「1000平方b未満の民間建築物と1990年以降に施工された民間建築物のアスベスト使用の実態把握を求める」行政勧告を受け、国がアスベスト総合対策を策定した後は中断していた社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会を08年9月に再開。同部会にWGを設置し、建築物におけるアスベスト使用の実態を把握するための仕組みや環境整備の在り方について検討していた。
これまで学識者や実務者などに対して行ったヒアリングや、アスベスト対策モデル事業の検証結果から、精度の高いアスベスト調査を行うためには公共関与による調査者を育成する必要があると判断。WGは調査者を養成するための教育プログラムや、そのツールとしてのテキストなどの作成を先行的に行っていた。
提供:建通新聞社