国土交通省は、公共事業における新技術活用システム(NETIS)を活用し、実用化段階にある非破壊検査技術などの「コンクリートのひび割れについて遠方から検出が可能な技術」を8月30日まで公募する。活用が進んでいない新技術を掘り起し、コンクリート構造物の近接目視点検や打音検査、触診を行う際に足場の仮設などによるコスト増などの課題を解消するのが狙いだ。9月中に対象技術を選考し、10月から直轄事業の現場で試行を開始。試行結果はNETIS内に新設する「点検・診断サイト(仮称)」で公表する。
コンクリート部材の変状で発生するひび割れは、水分の侵入による鉄筋の腐食などの原因となるなど、構造物の不具合と結びつく可能性が高く、早期に発見することで予防的な対策を講じることが可能になる。
ただ、点検・診断を行う際には、足場の仮設でコストが増加したり、点検結果が作業員の熟練度で左右されるなどの課題も指摘されている。
国交省では、昨年12月に発生した笹子トンネル天井板落下事故を受けて設置した「社会資本の老朽化対策会議」で、これまで十分に活用されていなかった非破壊検査技術などの点検・診断技術を公募することを決定。新技術に直轄事業の点検現場などを提供し、実用化を後押しすることで、点検・診断に伴うこうした課題の解消を目指す。
公募技術には、目視や手作業の組み合わせである従来の技術を代替することや、従来技術と新技術の組み合わせで従来技術を代替できることのほか、コンクリートのひび割れを遠方から高い精度で測定できることなどを求める。応募資格は個人か民間企業とし、行政機関、特殊法人、公益法人、大学法人などには共同開発者として参加を認める。必要経費は原則として応募者が負担。既にNETISに登録されている技術でも応募は可能とする。
選考された技術は直轄の点検現場などで10〜12月に試行を行い、事後評価をNETISの「点検・診断専用サイト(仮称)」で公表する。評価の高い技術については、発注者が指定して直轄現場で積極的に活用する。
国交省は、13年度中にもコンクリート以外の構造物などを対象に、適切なテーマを設けて点検・診断技術を公募するとしている。
提供:建通新聞社