国土交通省は26日、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会(委員長・大森文彦東洋大学教授)を再開した。6月に省内の「地域の建設産業及び入札契約制度のあり方検討会議」がまとめた入札契約制度改革の方向性などについて、有識者らの意見を聞きながら制度設計を進める。太田昭宏国交相は同日の閣議後の会見で「建設産業が直面する課題に制度的な解決を図っていけるよう、年内をめどに結論を得たい」などと述べた。
26日の会合では▽業種区分の点検と見直し▽技術検定試験の受検資格要件の緩和▽社会保険未加入問題への対策▽公共工事の入札契約制度の在り方―の4点について、有識者らと意見交換した。 公共工事の入札契約制度については、省内の検討会議が6月に「時代のニーズや事業特性に応じた多様な入札契約方式の導入と活用」や「ダンピング対策の強化、適正価格での契約の推進」などの方向性を示した。
基本問題小委の委員は、国交省の検討会議が示した改革の方向性については「オープンブック方式などを導入できる地方自治体は少ない」(井出多加子成蹊大学教授)、「多様な入札契約方式を示しても、発注者にそれを選択する専門知識や体制がない」(小澤一雅東京大学大学院教授)などと、自治体支援を充実させる必要性を指摘。土地・建設産業局の青木由行建設業課長は「(自治体などの)発注者が公共調達の分野でこうした枠組みがあれば説明しやすい、運用しやすいと感じるような仕組みが必要だ」などと応じた。
また、建設業団体からは「地域を災害から守るという建設業の役割を担保できるよう、労務単価、入札契約制度、予定価格の在り方など、原点に戻って検討してもらいたい」(伊藤孝全国建設業協会副会長)、「CM方式など、東日本大震災の被災地での取り組みをさまざまな形で検証してほしい」(山内秀幸日本建設業連合会総合企画委員会政策部会長)などの意見が出ている。
国交省は、基本問題小委での議論を参考にしながら、必要に応じて公共工事品質確保促進法(品確法)の見直しなども視野に入れている。
提供:建通新聞社