国土交通省の「地域の建設産業及び入札契約制度のあり方検討会議」(議長・鶴保庸介副国交相)は、21日に開いた2回目の会合で、今後の改革に向けた『大きな方向性』について議論した。会合では、前回の会合で示された検討課題に対応した▽予定価格の設定の在り方の見直し▽監理技術者の受験資格要件の緩和▽インフラ維持管理の高度化に対応した入札契約方式▽公共工事に関する法定福利費の透明化―などの具体策を議論。施策の実現に向け、公共工事品質確保促進法の法体系に、公共工事の発注者責務を「中長期的な担い手の確保」を位置付けたり、予定価格のより適正な設定に向けて予算決算及び会計令(予決令)などの改正を検討する可能性も示している。
初会合では、今後の改革に向けた検討課題として▽時代のニーズや事業特性に応じた多様な入札契約方式の導入▽ダンピング対策の強化▽技術・技能者の確保・育成▽維持管理・災害対応の確保と将来の品質確保―の四つの視点を整理。21日の会合でこれらの課題に対応した具体策が示された。
多様な入札契約方式の導入に向けては、技術的難易度が高い工事などで、技術力で企業を選定した後で価格・工法を交渉する契約方式、インフラ維持管理の高度化に対応できる契約方式などの導入を提案。被災地での取り組みを踏まえた被災地外へのCM方式の導入、下請け企業や職人へのしわ寄せを防止する「オープンブック方式」などの導入も検討するとしている。
ダンピング対策を強化するため、予定価格の設定の在り方を見直す必要性も指摘。具体的には、インフラの老朽化対策を適切に進めるための積算の改善、技術提案を踏まえた予定価格の作成などを検討するとした。
技術者・技能者の確保育成に関しては、各企業が若手技術者をより活用できるよう、監理技術者の技術検定試験の受験資格要件を緩和する方向性を示した。建設業退職金制度の民間工事での導入促進や専門工事業者等評価制度(仮称)の検討なども進めるとした。
インフラの維持管理事業への対応については、複数年契約、複数業務の一括発注、共同受注方式(事業協同組合、地域JV)などで、安定的・継続的な体制を確保することを提案。インフラの維持管理・災害対応を確保する観点で、公共工事の発注者が建設産業の中長期的な担い手の確保に配慮する責務を明確化することも検討する。
国交省は21日に議論した『大きな方向性』を最終的に整理した上で、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会や、新設の「直轄事業における今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(仮称)」に場を移し、有識者の意見も交えた詳細な検討を始める。
提供:建通新聞社