自民党の国土強靭(きょうじん)化総合調査会(二階俊博会長)が21日に開かれ、米田雅子慶応義塾大学特任教授は、岐阜県内で進めている「防災・命の道をめざす異種の道ネットワーク」の取り組みについて講演した。米田教授は「道路には地図に載らない多くの国有林道や民間道がある。こうした『異種の道』をつなぐことが、防災対策や孤立集落対策に役立つ」などと事業の効果を説明した。
異種の道ネットワークは、道路地図に載らない道(河川管理道、砂防管理道、林業専用道、電力管理道など)を地理情報システム(GIS)などを使って把握し、最小コストでネットワーク化としてつなげようといった取り組み。
米田教授を座長とする「ひだ異種の道ネット検討会」が、岐阜県高山市や下呂市でモデル事業を行っている。検討会には、国・県・地元自治体のほか、林業や建設業などの地元企業も参加している。
米田教授はモデル事業で異種の道を把握したことにより「いかに隠れた道路という財産があるかを確認できた」とし、防災・災害対策、国土保全、森林再生などとともに、過疎地域の活性化なども期待できるとネットワーク化による効果を説明した。
一方、異なる規格を持つ道路のネットワーク化には「政治的なハードルが高い」と法制度上の課題を指摘し「国土強靭化の枠組みの中で実現を図ってもらいたい」と参加議員に協力を呼び掛けた。
提供:建通新聞社