総務省は、地盤分野でクラウドサービスを適切に普及拡大させるとともに、情報の公開・二次利用を促進することを目的とした「地盤情報の公開・二次利用促進のためのガイド」を策定した。地盤情報のステークホルダーが、ICT(情報通信技術)時代における「知財」の集積と利活用のルールを考える上で、一つの指針になりそうだ。
ガイドは「公開編」と「二次利用促進編」―の2部で構成。国や地方公共団体などが、保有する地盤情報(ボーリングデータ)を電子的に公開する際に留意すべき事項や、利用者が公開された地盤情報を二次利用する際に留意すべき事項などをまとめた。
「公開編」は「地方自治体」を対象として想定。地盤情報の公開を促すために、地盤情報提供者からみた地盤情報提供の意義やメリット、二次利用に伴う責任・権利関係などについての指針を示した。一方、「二次利用促進編」は地盤情報サービス事業者(特にASP・SaaS事業者)が、国・自治体などの地盤情報提供者から提供される地盤情報を基に「データマネジメント」や「情報コンテンツ」などのサービス提供を行う際に順守すべき事項や、留意すべき事項などの大枠を提示した。
地盤情報の公開が促進されるか否かは、データの電子的蓄積や公開が遅れている市町村の今後の対応に掛かっている。このため、ガイドは地盤調査事業者に対し、成果物を市町村に電子データで納品する際には、県などにも電子データを簡単に提供できる仕組みを構築するなど、情報の利活用に柔軟に応えられる工夫を促した。
その上で、自治体に対しては、情報提供サービス業務の一部を業務委託するなど、民間事業者を効率的、積極的に活用するよう求めた。
さらに、地盤情報の流通・有効活用の一層の促進には、国・地方自治体、地元関係機関・団体などの連携が欠かせないと強調。全国地質調査業協会連合会(全地連)や地域の地質調査業協会などとも連携し、研究会などの活動を通して、地盤情報の流通・有効活用の促進に向けた基盤整備や人材育成を行っていくことが望ましいとした。
ガイドは、将来的に地盤情報の提供サービスを安定的に運営していくためには、▽ボーリングデータなどのメタデータの維持管理▽事業者や市民などからの各種問い合わせなど―に対応できる持続的なサービス提供組織が必要と指摘。既存組織の拡充や官民連携による新たな組織体制の構築を求めた。
提供:建通新聞社