文部科学省は17日、東京・霞が関の本省講堂で、建築士など学校施設整備の実務者を対象に「天井等落下防止対策の手引き」(案)の講習会を開いた。災害時に避難場所となる屋内運動場(体育館)、武道場、講堂、屋内プールなど大規模空間の全施設を天井耐震点検の対象とする必要性を説明。天井の補強や再設置は困難でコストがかかることなどから、確実で安全な方策として「(天井の)撤去を中心とした落下防止対策の検討」を促した。
東日本大震災では多くの公立学校で天井材や照明器具など非構造部材が落下する被害が発生。事態を重くみた文部科学省は、専門家などの協力を得て非構造部材の耐震対策を検討し、致命的な事故が起こりやすい体育館などについて「天井等落下防止対策の手引き」(案)を作成した。天井耐震点検と対策を効率的に行えるよう、具体的な手順と留意点を示し、実地診断を行わなくても対策を検討できる方法を提示。「手引き」(案)の活用を通じて、天井の耐震総点検と対策の取り組みを加速させる方針だ。
国土交通省が近く告示する見通しの建築基準法に基づく天井落下対策の技術基準は、対象を高さ6b超、面積200平方b超の天井に絞っているが、文部科学省は、学校施設が児童生徒の学習・生活の場であることや、地域の応急避難場所となることなどから、原則として全ての大規模空間施設を天井耐震点検の対象とする考え。校舎内の講義室、図書室、音楽室、食堂など、国交省の技術基準の対象とならない規模のものについても、基本的な考え方は変わらないとし、「手引き」(案)を必要に応じて参照するよう求めている。
講習会には600人が出席。今後、地方でも開催する予定。また「手引き」(案)は、国土交通省が技術基準告示後にホームページで公開する。
提供:建通新聞社