国土交通省は、都道府県における低入札価格調査基準価格と最低制限価格の見直し状況(5月31日時点)を調査した。5月17日に中央公共工事契約制度運用連絡協議会が低入札価格調査基準モデル(中央公契連モデル)の一般管理費等を55%に引き上げたことを受け、調査基準価格で27団体、最低制限価格で23団体が新たに基準を引き上げると回答。モデル改定から半月で半数以上の自治体が引き上げを決めた格好だ。既に独自に中央公契連モデル以上の水準を設けていた団体を加えると、7割以上の団体で中央公契連モデルと同等かそれ以上の水準を設けたことになる。
国交省の直轄工事では、調査基準価格の計算式のうち、企業の本支店での必要経費などで構成する「一般管理費等」の算入率をそれまでの30%から55%に引き上げ、5月16日以降に公告する入札から適用を始めた。算入率の引き上げで、調査基準価格の平均値は約2%上昇し、88%程度になるとしている。
これに合わせ、多くの地方自治体が参考にする中央公契連モデルも改定された。国交省はモデル改定に合わせ、16日付で都道府県と政令市に基準の引き上げを要請。今回の調査結果では、調査基準価格を引き上げたり、引き上げを予定している都道府県は27団体で、このうちモデルと同様に基準を引き上げる団体は23団体だった。
また福井県、奈良県、愛媛県、熊本県の4団体では、独自の算定式で中央公契連モデルの水準以上に引き上げるとした。例えば、愛媛県では、6月1日から一般管理費等を55%に引き上げるとともに、これまで予定価格の70〜90%としていた調査基準価格の設定範囲の上限を撤廃し、70%以上に変更。熊本県では、7月1日の適用を目指し、独自の補正係数の見直しを検討しているという。
一方、最低制限価格については、引き上げを実施・実施予定の団体は23団体あり、このうち独自に算定式を引き上げる団体も6団体あった。和歌山県は最低制限価格の上限(90%)を撤廃し、平均値を90〜93%に引き上げる。岡山県は算定方法を非公表としているが、中央公契連モデルを参考に平均値を2%程度引き上げるとしている。
「東京都、大阪府、愛知県は検討中」
一方、調査基準価格で10団体、最低制限価格で9団体が、引き上げを「検討中」と回答しており、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、広島県など、都市部で対応を保留する団体が目立つ。ただ、検討中と回答した団体には、11年に改定された中央公契連モデルを採用する団体が多く、いずれかの時期に見直されるものとみられる。
提供:建通新聞社