国土交通省は、高速道路の維持管理・更新費の財源確保を目的に、建設債務を償還するための料金徴収期間を10〜15年延長する新たな料金制度案をまとめた。各道路会社の試算によると、高速道路の更新費は現時点の試算で約7兆円と見込まれており、料金の値上げや税金の投入ではなく、民営化当初に定めた償還期間(2050年まで)を延長し、料金水準を維持したまま、利用者の負担で更新費を賄う。
同省は、7日に開いた社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会(部会長・寺島実郎日本総合研究所理事長)に、新たな料金制度案を盛り込んだ中間答申案を提示した。中間答申は6月中に最終決定する予定。
高速道路の大規模更新の概算費用は、首都高速道路で7900〜9100億円、阪神高速道路で6200億円、NEXCO3社で5兆4000億円と試算されている。
中間答申案では、高速道路の維持管理・更新について、更新計画を策定し、長期的視点に立った点検・補修、維持管理・更新履歴のデータベース化、新技術の開発・導入などを進める必要があると提言。その上で、更新費の負担は「利用者負担を基本とすべき」と明記した。
同省では、更新の財源を料金の値上げで確保した場合、15%程度の大幅な値上げが必要と試算し、値上げが「現下の経済・社会に与える影響などを踏まえれば困難」と結論付けた。その上で、高速道路の民営化の際に想定した債務の償還満了後、更新のための料金徴収を継続することとし、現行の料金水準は維持する新たな料金制度を提案した。
ただし、国・地方の財政状況や金利の上昇など、経済・社会の状況が大きく変化した際には、税金の投入も含めて更新負担の在り方をあらためて議論する必要があるとしている。
提供:建通新聞社