建設経済研究所は、2012年度の主要建設会社決算分析をまとめた。大手から中堅まで上位39社の連結売上高は前年度に比べ0・4%増の12兆6420億4700万円と横ばいだが、売上総利益(連結)は8・9%減の8239億2000万円、売上総利益率は1・1ポイント減の6・5%となった。同研究所では、民間設備投資の回復や震災復興需要など受注環境は改善しているものの、労務の逼迫(ひっぱく)や手持工事の採算悪化が進み、特に厳しい競争環境にある建築工事で利益率が低下しているとみている。
受注高の合計は、2%増の10兆0612億2100万円と2年連続で増加し、企業規模別では大手が0・5%増の5兆1941億7900万円、準大手が1・6%減の2兆4871億2200万円、中堅が9・6%増の2兆3799億2000万円。準大手では、建築の伸び悩みが土木の落ち込みをカバーしきれず、減少に転じた。
工事種類別の受注高を見ると、建築が3%増の6兆8260億8400万円となった。受注を大幅に伸ばした企業では、商業施設や病院、私立学校など国内民間建築の受注増加を要因に挙げた。土木は2・2%減の2兆7327億6500万円で、前年度に東日本大震災の大型のがれき処理を受注した反動で、2桁以上の減少率となった大手・準大手が4社あった。
企業規模別の売上総利益(連結)は、大手が6・2%減の4739億4500万円、準大手が21・9%減の1656億1000万円、中堅が1・3%減の1843億6500万円と、全階層で減少。大手と準大手は、全14社中13社で売上高が増加したが、うち9社で売上総利益が減少した。
同研究所では、12年度決算について「建築に強みを持つ企業が利益面で苦戦する傾向が見られたが、土木に強みを持つ企業が多い中堅が業績を伸ばした」と総括。13年度については「利益率の高い工事を選別して受注する企業が増える」と見て、受注高は3・5%の減少を予想している。
提供:建通新聞社