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2013/06/06

照査期間を確保、品質向上へ 繰越明許や翌債の活用を 建コン協

 建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)は、全国9ブロックで行う国土交通省各地方整備局と都道府県、政令市との意見交換会を前に、2013年度の要望と提案をまとめた。柱は「品質の確保・向上」「技術力による選定」「魅力ある建設コンサルタントに向けて」―の三本。懸案の一つとなっているエラー防止対策については、成果品の照査期間を十分に確保することで品質を確保する必要を強調。繰り越し明許の柔軟な運用や、翌債を活用した納期の平準化などを要望していく。
 「品質の確保・向上」に大きな影響を及ぼす納期の設定については、12年度業務のうち納期変更後に3月納期になった案件が74%あり、11年度より7%悪化。国交省が目標としていた3月50%を大きく上回ったことが建コン協の調査結果から分かっている。
 12年4月以降に繰り越された業務件数についても、地方整備局全体で110件、当初から年度内の工期を設定された契約件数の2・7%にとどまっており、繰り越しが十分活用されていない状況が浮き彫りになっている。
 このため、建コン協は、繰り越し明許や翌債の積極的な活用によって、柔軟に年度をまたいで工期を設定できる仕組みの構築を求める一方、12年度に建コン協が国交省に提案した「3月納期35%」を、13年度も国交省が目標として掲げるよう要望する。
 また、照査歩掛かりと実態との乖離(かいり)についても指摘。照査費用(人件費・経費・外注費含む)が設計費の約23・9%を占めている実態を説明し、理解を求める。
 「技術力の選定」については、コスト・工期の削減と品質向上に寄与するという視点からプロポーザル方式の適用業務を見直すよう要望。道路分野を例に取り上げ、「構造物予備・補修設計(大型・特殊)」など四つの業務をプロポーザル方式の対象とし、これまで総合評価落札方式の対象としていた「構造物詳細・補修設計(一般)」をプロポーザル方式での発注もできるようにするなど、発注方式の見直しについても提案する。
 地方公共団体に対しても技術力重視による選定・発注方式の導入の促進をあらためて要望。併せて▽最低制限価格制度の導入の拡大と予定価格の事後公表の徹底▽見積もりによる仕様の明確化と歩掛かり公開の必要性について指摘する。
 建コン協は、こうした現状説明と改善提案を行うことで、経営環境の悪化と業界の疲弊が、社会資本の品質を脅かし、技術の継承をますます困難にしている現状への認識と危機感を国交省などの発注者と共有。これからの国土建設を担う若い技術者らが、夢と希望を持てる「魅力ある建設コンサルタント」の実現につなげていきたい考えだ。
 
提供:建通新聞社