国土交通省は、公共施設や公有地を都市構造の再構築に活用するための方策を検討する「都市のリノベーションのための公的不動産活用検討委員会」(委員長・根本祐二東洋大学大学院教授)を設置し、4日に初会合を開いた。地方自治体の財政悪化を理由に、庁舎や公共施設の廃止が進んでいることから、これらを活用したまちづくりの方向性を議論する。公的不動産の有効活用を検討している10都市をモデルケースに検討を進め、公的不動産活用に向けたガイドラインをまとめる。
全国の自治体が所有する公共施設の総延床面積は約3億8000万平方b。高度成長期に建設された施設が多く、耐用年数まで10年未満の施設と耐用年数を超えた施設の割合は全体の4割を超えており、今後の維持更新コストは2・6倍になるとの試算もある。
地方財政の悪化状況などを踏まえると、自治体が今後も同程度の公的不動産を保有することは困難になると予想され、総量削減を含む施設の再配置や公共サービスの在り方を見直す必要に迫られている。
一方、人口減少と高齢者の増加による生活経済活動の停滞を解消するため、都市構造の再構築も求められている。国交省は、公的不動産の在り方を検討する上で、こうした将来のまちづくりの課題を考慮する必要があると分析し、同委員会を設置することにした。
委員会では、モデル都市として▽宮城県大崎市▽福島県会津若松市・会津坂下町▽千葉県佐倉市▽新潟県上越市▽静岡県焼津市▽岐阜県美濃加茂市▽大阪府枚方市▽福岡県飯塚市―の10都市9件を選定。モデル都市では、不動産情報の一元化、建物用途の複合化・集約化、事業手法(資金調達、利活用方法)、まちづくりへの効果などを探り、公的不動産の有効な活用方策としてまとめる。
委員会は、2014年2月に有効活用を検討する自治体向けのガイドラインをまとめるとともに、有効活用に役立つ制度の見直しなどについて提言する予定だ。
提供:建通新聞社