国土交通省は、ことし2月に全国でスタートした建設技術者の専任配置要件の緩和について、都道府県と政令市の適用状況(4月末時点)をまとめた。密接な関係のある5`程度以内の距離にある複数工事(原則2件程度)で主任技術者の兼務を認める措置は新たに38団体が適用。先行して2012年2月から適用していた東日本大震災の被災地などの団体を加えると、全67団体の約7割に当たる46団体が適用を始めたことになる。適用を予定している団体も、東京都、三重県、佐賀県、川崎市、堺市、神戸市の6団体あった。
建設業法では、土木一式で工事請負金額が2500万円以上、建築一式で5000万円以上の工事で、技術者を専任で配置することを求めている。専任配置要件の緩和措置について国交省は、まず復旧・復興事業の加速化を目的に被災地で12年2月から導入。工事現場相互の間隔が5`程度に近接した場所で施工する場合、主任技術者が原則2件程度の現場を兼務できるとする通知を送付した。
さらに、総額約5兆円に及ぶ公共事業費を盛り込んだ12年度補正予算の成立前のことし2月5日、国交省は膨大な公共事業の円滑な執行を目的に、この緩和措置を全国に展開。主任技術者の兼務を可能とする要件にも「施工に当たり相互に調整を要する工事」を追加し、例えば工事用道路を共有する5`以内にある公園整備工事と築堤工事の兼務も可能とした。
今回、国交省では、開始から約3カ月が経過した4月末時点における都道府県と政令市の適用状況を調査した。これによると、被災地の7団体に大分県を加えた8団体がことし2月以前から緩和措置を適用。2月以降に適用を始めた38団体を加えると、調査対象の68・6%に当たる46団体が適用を始めたことになる。
一方で、適用の予定なしと答え団体は15団体あり、このうち約半数の7団体が政令市だった。ただ「当面、発注ロットの大型化、発注件数の平準化で対応する」と答えた群馬県、「検討中」とした鳥取県、香川県、大阪市など、同じ予定なしと回答した団体の中でも温度差が見られた。
「現場代理人の常駐緩和は新たに11団体」
国交省では、主任技術者の兼務を可能とする緩和措置の適用と同じ2月に、既に運用していた「現場代理人の常駐義務の緩和」と「監理技術者・主任技術者の専任を要しない期間の明確化」についてもあらためて周知した。
今回の調査によると、現場代理人の常駐義務の緩和については、国交省の周知後に適用を開始した団体は11団体で、既に適用していた50団体を加えると、61団体(91%)が適用したことになる。適用を予定していると回答した団体も三重県など4団体あった。
監理技術者などの専任を要しない期間(契約締結から現場着手まで、検査終了後など)の明確化については、新たに3団体で適用を開始。従来から適用していた団体も含めると、83・6%の56団体が適用を開始した。適用を予定している団体も3団体あった。
提供:建通新聞社