国土交通省は、社会保険加入の促進に取り組む専門工事業に対する優良事業者認証制度の大枠を固めた。制度は、専門工事業団体を認証の実施機関とし、各団体が自主的に社会保険加入に取り組む専門工事業者を認証する仕組みを想定。3保険(雇用保険、健康保険、年金保険)に企業単位で加入する事業者を「取組推進事業者」、直接雇用する全ての労働者が加入する事業者を「適格事業者」とし、見積書に法定福利費を内訳明示するなどさらに優良な取り組みを行う事業者を「優良事業者」として認証する仕組みを想定している。
優良事業者認証制度は、社会保険の加入状況に関する確認作業の簡便化、建設業者自らの保険加入に向けた取り組みを推奨するなどの目的で国交省が検討しているもの。学識経験者らによる「社会保険等の加入促進方策検討委員会」(座長・佐藤博樹東京大学大学院教授)で、認証の基準などを議論してきた。
同制度では、専門工事業者の保険加入に関する取組状況から3区分で認証。全事業所を適用事業所として届け出ている事業者などを「社会保険加入に関する取組推進事業者」、適用事業所として届け出た上で本社社員と雇用契約を結ぶ技能労働者ら直接雇用の全労働者が保険に加入している事業者を「社会保険加入に関する適格事業者」として認証するとした。
適格事業者の条件に加え▽社内体制の整備(労働者ごとの加入状況の一覧表や社会保険の手続きに精通した従業員などの有無)▽協力会社への働き掛け(協力会社への加入の確認・指導、定期的な集合研修など)▽法定福利費の確保(法定福利費を見積書に内訳明示、直接雇用の労働者を一人親方化しない会社方針を明示など)―などの条件を満たす事業者を「社会保険に関する優良事業者」として認証する。
制度は、専門工事業団体を認証の実施機関とし、非会員企業については、一定の範囲で認証料に差を設けることも検討している。制度の創設により▽建設業許可▽経営事項審査▽入札参加資格の確認審査―などで、行政と申請企業の双方で事務負担の軽減が図れるとした。また、総合評価方式での加点措置など保険加入企業に対する優先発注などへの活用も期待できるとしている。
提供:建通新聞社