国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会で検討していた今後の社会資本の維持管理・更新の在り方を示した中間答申がまとまり、社整審の福岡捷二会長と家田仁技術部会長が太田昭宏国交相に答申を手渡した。中間答申を検討した社会資本メンテナンス戦略小委員会の委員長も務めた家田部会長は太田国交相との会談後に会見を開き「社会資本の維持管理・更新は、財政状況や時代の風潮に影響されず、営々と進めることが重要。国民の理解と支援が要になる」と訴えた。
中間答申は、昨年7月に発足した小委員会を中心に検討が進められ、点検・診断から修繕までのPDCAサイクルの確立、予防保全管理の原則化、中長期的な維持管理・更新計画の策定、地方自治体への財政・技術支援などを重点的に実施するよう、国交省や地方自治体に求める内容。
ただ、小委員会がまとめる予定だった維持管理・更新費用の将来推計については、不確実性が排除できないなどとして検討を継続することにした。施設の構造・立地条件・使用状況などで劣化状況が異なったり、維持管理の水準によって費用が異なることなどを課題として指摘している。
家田部会長は会見で、維持管理・更新費の将来推計について「1日でも早くまとめたい」としながらも「首都高速道路のように過積載の車両が多い道路では管理コストも異なる」などと例を挙げ、慎重な検討が必要だとの認識を示した。
また、家田部会長は、今後の維持管理・更新の課題の一つとして市町村のマンパワー不足を指摘し「制度体系上は自治体が管理する施設であっても、利用者には関係ない。国が財政・組織の両面で支援すべきだ」と指摘。「官民を問わずに技術者を集め、広域をカバーする組織をつくった上で、自治体を支援することも必要なのではないか」と具体的な解決策を提案した。
提供:建通新聞社