関東地方知事会議は22日、国の施策や予算に対する要望・提案をまとめ、公共土木施設の老朽化対策に対する支援強化、東京外かく環状道路など道路網整備の推進などを盛り込んだ。トンネルや橋梁など公共土木インフラの老朽化問題については、最優先で取り組むべき喫緊の課題と指摘。地方で対策を着実に進められるよう▽「防災・安全交付金」の採択要件緩和▽点検や計画策定の費用の交付金対象化▽より詳細な点検マニュアルの作成▽専門技術者の養成と資格制度創設▽新技術の開発―などを提案することにした。今後、政府、関係機関に働き掛けていく。
地震対策では、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などに備えるため▽新たな対策大綱の早期策定▽防災施設を重点整備する「特別措置法」の制定▽基幹的広域防災拠点の整備▽総合的な津波対策の推進▽広域応援体制の確立―などを要望。建築物の耐震改修に対する国の補助制度は煩雑で地方が対応できていないとし、補助限度額を「地方公共団体が補助する額の2分の1」へと明快な形に見直しを求めるほか、所得税の控除制度、避難所になる学校や病院、緊急交通路の耐震対策の強化を提案する。
高速道路網については、その重要性が東日本大震災で再認識されたとし、東京外かく環状道路の整備促進、首都圏中央連絡自動車道の建設促進、新東名高速道路の早期全線開通など16項目を要望。新東名は海老名市以東の計画促進、東名高速は渋滞ボトルネックとなっている大和トンネル付近対策の早期具体化を求める。
地方分権改革では、これまでの国の取り組みが不十分であるとし、国の出先機関の原則廃止などを要望。特に地方の要望が強い直轄道路、直轄河川について、具体的な制度的な枠組みを示し直ちに移管するよう求めることにした。受け入れ主体は、特定広域連合などに限定せず、都県単独などによる受け入れも可能にするよう訴える。
ただ、静岡県の川勝平太知事は、国土交通省の地方整備局が東日本大震災で迅速に活動したのに対して、知事会は対応の指示が遅れ、その原因も把握できていないという現実を挙げた上で、「広域災害に府県単位では行動できない。整備局の役割は無視できない」と発言。知事会の提案内容を了承したものの、出先機関の廃止には留意する点があるとの考えを示した。
このほか各知事は臨時財政対策債が財政の足かせとなり、独自に新たな取り組みができなくなっているとして廃止するよう求めることにした。
提供:建通新聞社