国土交通省は22日、東日本大震災の復旧・復興工事の円滑な施工について話し合う「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」の6回目の会合を開いた。この中で同省は、高台移転などを行う「防災集団移転促進事業」の発注が本格化することなどに伴い、土砂運搬などを担うダンプカー不足が懸念されると報告。全日本トラック協会では、運送事業者が車庫や宿泊所を自前で確保するなど、対策の必要性を訴えた。このほか、災害公営住宅の建設が2013年度後半からピークを迎えることから、関係者による情報連絡会を設置することも報告した。
津波被害を受けた地域などで高台移転を進める「防災集団移転促進事業」は、事業を計画している328地区のうち、325地区で法定手続きが終了しているが、工事に着手しているのは64地区と全体の20%にとどまる。今後、各市町村で工事の発注が本格化する見通しだ。
国交省では、復旧・復興工事の本格化に伴う土量の増加などに伴ってダンプカー不足が生じることを不安視。被災地では、震災の発生直後から特例措置を創設し、宿泊所や車庫の確保などを条件に、被災地外のダンプカーが事業活動を行うことができる特例措置を講じている。ただ、この特例措置はことし9月12日で期限切れになることに加え、宿泊所や車庫の確保も困難な状況にある。
各現場の工事が重なり、必要な車両の数が把握できないため、被災地で事業を行っていた運送事業者が地元の仕事を優先せざるを得ない事情もあるという。
会合に参加した全日本トラック協会は、特例措置の延長に加え、運送事業者による宿泊所や車庫の確保に対する公的な支援を要請。運送事業者は元請け建設会社が保有する宿舎などを借り受けるケースが多く、宿泊所などをゼネコンから借り受けると、同じ現場の業務しかできなくなる。同協会では「自前の宿泊所などが用意できれば、各業者のダンプを一括で管理できるようになる」と提案。これに対し国交省は「ダンプカーターミナルのような、活動拠点をつくれば効果があるのではないか」(自動車局貨物課)などと応じた。
国交省ではこのほか、今後想定される復旧・復興事業の課題として、工事が本格化する災害公営住宅の施工確保を取り上げた。13年度後半から計画戸数が約2万4000戸に上る災害公営住宅の建設工事がピークを迎えることから、被災3県(岩手県、宮城県、福島県)、東北地方整備局などが参加する情報連絡会を設置すると報告。関係者で建築資材の受給見通しや技術者・技能者確保などの情報共有を図り、資材・人材の安定供給を図るとした。
提供:建通新聞社