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中央ニュース

2013/05/22

予防保全を原則化 今後の維持管理・更新で中間答申 国交省

 国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会の技術部会は21日、今後の社会資本の維持管理・更新の在り方を示した中間答申案を了承した。答申案では、維持管理・更新への「戦略的メンテナンス思想」の導入を訴え、施設に不具合が発生する前に対応を講じる予防保全的管理を原則化し、中長期的な維持管理・更新計画を策定するよう提言。維持管理・更新の担い手を確保するため、点検技術者に対する資格制度の活用・充実や契約単位の包括化・長期化など入札契約制度の改善に取り組む必要性を訴えている。
 答申案は、社会資本の維持管理・更新を進める上で、個々の現場での対応策だけでなく、目指すべき基本的な考えと国交省が取り組む施策を示したもの。21日の会合で、同部会が設置した「社会資本メンテナンス戦略小委員会」がまとめた答申案を承認した。社会資本整備審議会と交通政策審議会に報告した上で、太田昭宏国交相に提出する。
 答申で、維持管理・更新を進めるための第一歩として示したのが、情報収集・蓄積とデータベース化。収集したデータを共有化する「情報プラットフォーム」を構築し、地理情報などとのデータ連携、新設設計へのフィードバック、技術開発の促進などへの活用も求めている。
 さらに、点検・診断、評価、計画・設計、修繕などの一連の各業務プロセスを戦略的に行う「戦略的メンテナンス思想」を提唱。不具合が生じた後で修繕する事後的管理から、予防保全的管理を原則とする方針への転換を求めた。長期的視点に立つだけでなく、劣化度、利用頻度、災害時の重要性などの要素を加えた維持管理・更新計画を策定するとともに、計画を定期的に検証する必要性も訴えている。
 維持管理・更新を担う人材の育成に向けては、研修制度の充実、点検の品質確保を図る技術者資格制度の活用・充実、モチベーション向上策などを検討するよう提案。専門性を持つ人材が育つよう、契約単位の包括化や長期化などによる入札契約方式の改善、能力のある企業が受注できる仕組みの構築、建設技能労働者の育成などの必要性も指摘した。
 地方自治体に対しては、助成制度の充実や大規模構造物の維持管理・更新に対する国の代行制度の創設のほか、地方整備局などの組織体制を見直して技術的支援を充実することも求めている。

提供:建通新聞社