国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会建築基準制度部会が20日に開かれ、建築関係4団体は、構造計算適合性判定(適判)や確認検査制度の効率化に向けて「適判の事前相談の制度化」や「適判機関の指定の合理化」など4項目の要望を共同意見として提出した。建築法制の方向性を検討する目的で設置された同部会は、次回7月の会合から報告書の骨子について議論を開始する。
共同意見を提出したのは、日本建築家協会、日本建設業連合会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会の4団体。3月の部会で、国交省が報告した確認検査制度の実態調査の結果を受けてまとめた。
意見書は▽適判に関する事前相談の制度化▽適判機関の指定の合理化▽適判と建築確認の同一機関での審査を可能とする制度の創設▽適判の対象建築物の見直し―などを求めたもの。
適判の事前相談の制度化に関しては、事前相談で審査側の意図が正しく設計者に伝わり、円滑な審査が行われるとともに、申請者の技術力向上や公正で明確な審査判定基準につながることも期待されると指摘。事前相談の制度化により、設計者と審査側のコミュニケーションを深める必要性を訴えた。
適判機関の指定をめぐっては、国交省の実態調査で、指定機関の少ない地域で審査機関が長期化する傾向がある反面、民間の審査機関からの指定申請を受理しない都道府県が13県に上ることが判明。意見書では、合理的な理由がない限り指定申請を原則として受理するよう求め、適判機関の数が不足する地域間格差を解消すべきとした。
また、適判機関の指定を受けた確認検査機関が同一案件の適判と確認検査を行う制度の創設も要請。「(適判と確認検査の)両方の技術力を備え権限を適正に行使できる機関であれば、現行の審査レベルを低下させることなく、密接で質の高い審査が期待できる」などと主張している。
適判の対象建築物についても、設計業務の実態を踏まえて見直すよう要望。国交省も20日の会合で、小規模建築物やエキスパンションジョイントで接続された部分について、構造計算の内容・審査能力に応じた対象の見直しを図る議論の方向性を示している。
提供:建通新聞社