国土交通省の「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」は、中古住宅流通に関する方向性などを示す報告書の骨子をまとめた。中古住宅の流通促進を阻害する要因として、法定耐用年数に基づく建物評価があると指摘し、国に対して宅建業者の価格査定や金融機関の担保評価の参考となる指針を策定するなど、建物評価の抜本的な改善を図るよう求めている。
中古住宅の流通促進のための諸制度や条件は整備されつつあるが、一方で中古住宅の価値が適正に評価されず、資産価値が長期にわたって維持される環境が整っていないといった課題がある。
このため、報告書の骨子では、国が売買時における中古住宅の適切な建物評価に向けた理論の構築や指針の策定などを進めるべきと主張。中古住宅の建物価格がリフォームによる価値向上を積極的に評価できる積算価格であることを再認識した上で▽再調達原価の精緻化▽期待耐用年数の算出▽リフォームの評価額への反映方法の検討―などにより、建物評価の抜本的な改善を図るよう求めた。
金融機関が中古住宅の担保評価を適切に行うことができるよう、中古住宅の融資審査における指針の活用促進、リフォームローン(リフォーム一体型ローンなど)を充実させるため、住宅金融支援機構や民間金融機関が参加した検討の場を設けることも提案。
また、消費者が安心して中古住宅を取得できる市場環境を整備するため▽耐震性・省エネ性などに関するラべリング制度▽保険・認証制度(瑕疵保険、フラット35適合証明など)の評価・表示▽流通段階などにおける情報提供(住宅履歴情報など)―などの充実を図ることも提言している。
提供:建通新聞社