国土交通省は14日、直轄工事の低入札価格調査基準価格を引き上げることを決めた。調査基準価格の計算式のうち、企業の本支店での必要経費などで構成する「一般管理費等」の算入率を現行の30%から55%に引き上げる。同省では、算入率の引き上げで、これまで約86%だった調査基準価格の平均値が2%程度上昇すると試算している。16日の入札公告分から新たな算入率を適用する。
調査基準価格は、一定の基準価格を下回る応札があった場合に入札価格の内訳書の提出を求め、履行が可能かどうかを判断する仕組み。直轄工事では、予定価格の70〜90%の設定範囲で、直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の80%、一般管理費等の30パーセントの合計額に1・05を乗じた価格を調査基準価格としている。
このうち、一般管理費等は、企業の本支店での必要経費(本支店の従業員給料手当・法定福利費・退職金・役員報酬など)や試験研究費、付加利益(法人税、内部留保金)などで構成。国交省は、08年度、09年度、11年度の3度にわたって現場管理費の算入率を引き上げているが、一般管理費等の算入率は30%に据え置いていた。
今回の改定では、この一般管理費等の算入率を55%まで引き上げる。一般管理費等を55%以下に計上する工事で、工事成績評定点が低くなる傾向がみられたことを重視し、これまでの算入率には含まれていなかった本社・支店の従業員手当や退職金などを組み込むことにした。建設コンサルタント業務などの調査基準価格は、一般管理費等と工事成績評定点との関係性が認められないなどの理由で、今回の引き上げの対象にはならなかった。
「他省庁・独法も引き上げへ」
国の主要な発注機関などで構成する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)は、国交省の低入札価格調査基準価格見直しと足並みをそろえ、「低入札価格調査基準モデル」を16日に改定する予定。これにより、同協議会に参加する国の中央省庁や独立行政法人、道路会社などでも、同様の調査基準価格の引き上げが進みそうだ。同協議会は、地方公共工事契約業務連絡協議会(地方公契連)にも通知し、地方自治体にも改定内容の周知を図る。
提供:建通新聞社