国土交通省は、建設業の社会保険加入状況調査(2012年10月時点)の結果をまとめた。雇用保険・健康保険・厚生年金の3保険の加入率は、企業単位で前年度調査から3・1ポイント増の87・3%、労働者単位で1・1ポイント増の57・9%といずれもわずかに上昇した。職種別では、とび工、鉄筋工、型枠工が大きく伸びるなど、加入率の低い職種での底上げ傾向が見られた。
12年10月に行った公共事業労務費調査の際に、企業・労働者の社会保険加入状況を追加項目として回答してもらった。調査対象は企業約2万5000社、労働者約11万5000人だが、就業規則で定める所定労働時間が法定労働時間を超え、労務費調査で棄却された標本は含まれていない。
企業単位の加入率を見ると、雇用保険は1・1ポイント増の94・9%、健康保険は3ポイント増の89・1%、厚生年金は2・6ポイント増の88・5%となった。労働者単位では、雇用保険が前年度と変わらず74・6%、健康保険が1・1ポイント増の61・2%、厚生年金が1・4ポイント増の59・9%。雇用保険と比べ、健康保険と厚生年金の伸び率が高い結果となっている。
主要職種の加入率は、企業別・労働者別のいずれも、加入率の低い職種が前年度と比べて増加した。増加幅が大きい職種の加入率(労働者別)は▽左官55・2%(18・4ポイント増)▽とび工47%(9・4ポイント増)▽鉄筋工41・8%(7・5ポイント増)▽型わく工41・2%(8・6ポイント増)―など。ただ、普通作業員の労働者別の加入率は4・3ポイント減の56・3%となった。
企業単位の加入率(3保険加入)を地方別に比較すると、中国の93・9%(7・4ポイント増)、関東の76・1%(5・9ポイント増)、北海道の88・6%(4・4ポイント増)などが増加。労働者別では、北海道の66・9%(4・9ポイント増)、北陸の76・3%(3・1ポイント増)などの伸びが目立っている。
今回の調査結果は、12年10月時点のものであるため、国交省が同年11月から始めた建設業許可更新時の確認・指導などの対策による効果は含まれていない。国交省は、13年度の公共工事設計労務単価における法定福利費の本人負担分を上乗せしたことに加え、ことし9月から標準見積書の一斉提出を開始するなど、建設業の社会保険加入をさらに促進する方針だ。
提供:建通新聞社