政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が7日に開かれ、太田昭宏国土交通相は、首都高速道路の老朽化対策として、空中権を活用して大規模更新を進める方策を提案した。沿道のビルに首都高の空中権を売却し、その売却費を更新に充てる構想だ。社会資本の老朽化対策については、民間議員からもPPP・PFI手法の導入による民間資金の活用が提案されたことから、安倍首相は同手法を抜本的に改革し、行動計画を策定することも指示した。
有識者会議の試算では、都心環状線など6路線48キロに最大7800億円の更新費が必要とされており、財源の確保が課題になっている。
空中権の売却が検討されているのは、高速道路機構が土地の所有権を保有している都心環状線の築地川区間で、掘削トンネルを蓋掛けして上部の空中権を売却する。売却費を大規模更新の財源として利用するとともに、沿道の建築物の高度利用も図る計画だ。
首都高をはじめとする社会資本の老朽化対策に向けては、民間議員も民間の資金とノウハウを積極的に導入するよう提言。これまで事業費の「延べ払い型」にとどまっていたPPP・PFIを見直すべきとし▽民間提案制度の早期実施▽コンセッション方式の積極導入▽収益施設併設型PFI事業による維持管理・更新の推進―などを挙げ、数値目標を含めた行動計画を策定するよう求めた。
安倍首相は、首都高の大規模更新への空中権活用について「都市と道路の一体再生のための起爆剤となる」などと評価し、具体的に検討するよう太田国交相に指示。甘利明経済財政担当相は会議後の会見で「(PPP・PFIの改革で)民間の1500兆円に及ぶ資金の活用範囲を拡大する。公共インフラの更新に確実性を持たせることができるし、財政再建にも貢献できる」と述べ、PPP・PFIの抜本改革と行動計画の策定に着手する方針を示した。
提供:建通新聞社