国土交通省の有識者検討会が、新たな総合物流施策大綱(2013〜17年)の策定に向けた提言をまとめた。提言では、強い経済の再生と成長を支えるため、国内外での「ムリ・ムダ・ムラのない全体最適な物流の実現」を目標に掲げ、今後の取り組みとして▽国際コンテナ戦略港湾でのコンテナターミナルの大水深化▽国際海上コンテナ積載車両の通行支障区間の解消▽港湾などへのアクセス道路の整備推進―などを挙げた。新大綱は、関係省庁が連携し今夏の閣議決定を目指している。
新しい総合物流施策大綱は今後5カ年の物流施策の指針となるもので、大綱に基づき関係省庁が施策を総合的・一体的に推進することになる。学識経験者などで構成する検討委員会は昨年11月から物流の情勢変化と課題について検討し、提言をまとめた。
提言のうち国際基幹航路の寄港便数の維持・拡大は、グローバル・サプライチェーンの中核を担う上で不可欠であり、施策をさらに強化する必要があると指摘。物流の課題としては、国際海上コンテナ積載車両は高速道路の利用率が低く、主要港湾の周辺で渋滞が恒常的に発生していることなどを挙げた。
インフラの老朽化については▽東京臨海部の物流施設の約半数が建築から50年以上経過し老朽化している▽今後20年で築50年以上の岸壁が約5割、橋梁が約7割に達する―などとし、的確な対応の必要性を強調した。
今後は海外へ進出している産業の競争力を支えるため、港湾、道路などの物流インフラの輸出拡大、RORO船などによるアジア海上輸送網の構築―など国際展開を促進することを提唱。また、国際物流ネットワークとしての競争力を高めるため、船舶の大型化に対応した港湾機能の強化、コンテナターミナルの容量拡大・処理能力向上、渋滞解消対策の総合的な推進を求めた。
道路については三大都市圏環状道路など高規格幹線道路網の整備をはじめ、ITSによる交通の流れの円滑化、スマートインターチェンジの整備による既存の高速道路ネットワークの有効活用―などを訴えた。
災害対策の必要性にも言及。道路、港湾、空港、鉄道などの地震・津波対策を進めるとともに、道路・航路啓開の応急復旧計画を事前に準備するなど、災害時にインフラ機能を早期に回復できる仕組みについて検討するよう求めた。
提供:建通新聞社