経済産業省の「地質情報の整備および利用促進に関する検討会」は、第2期知的基盤整備計画における「地質情報に関する新たな整備計画(第2期整備計画)」と利用促進策をまとめた。重点化項目として「ボーリングデータの一元化」を掲げた。国や自治体などの機関が管理するデータベースを一元的に閲覧できる分散統合管理方式での整備を行い、エンドユーザーなどが地質情報を利用しやすい環境をつくる。防災や減災、国民生活や社会・経済活動を支える地質情報の利活用をさらに促進できる環境整備を進めていく。
東日本大震災以降、ボーリングデータの防災・減災への利活用性が、これまでにも増して望まれるようになっているが、ボーリングデータは自治体や社会資本の整備・管理に携わる機関などの担当部署などで個別に保有され、一部の自治体や国の機関を除きデータを共有化できていないのが実状。
また、地質・地盤情報に詳しい学識者や実務家などは、紙媒体で保管されているボーリングデータが、自治体やそれぞれの機関の保存文書の保有年限を過ぎて廃棄され、貴重なデータが散逸・消滅してしまうことを懸念している。
このため、経産省の検討会は、第2期計画の重点化項目に「ボーリングデータの一元化」を掲げ、短期・中期・長期―の3段階に分けて詳細な地質情報整備を実現するためのボーリングデータの一元化を促進することにした。
短期的(2014年度まで)には、千葉県北部をモデル地域に選定した上で、散在するボーリングデータを収集するとともに基準ボーリング調査を実施。地層の対比基準を策定するための基準データを整備する。
中期的(17年度まで)には、国土交通省の定める電子納品要領(案)や同省の国土地盤情報検索サイト(kuniJiban)、防災科学研究所のジオ・ステーションのデータなどを活用しながら分散統合管理方式の整備を進める。地質の専門家ではない自治体の担当者などでも容易にデータを入力できるインターフェースも構築する。統一基準を用いた地層の対比や再区分も行い、地下地質構造の解釈を付けたデータ整備も行う。
こうして整理した地盤データは、自治体職員などの一般ユーザーに対しては地質地盤図として提供。地質コンサルタントなどのプロユーザーに対しては、2次利用しやすいXMLなどの標準的なファイル形式で提供する。
経産省は、2011年8月に閣議決定した第2期科学技術基本計画が新たな知的基盤整備計画の策定を求めたことを受けて知的基盤整備特別委員会(北澤宏一委員長)を設置。特別委員会は12年8月にまとめた中間報告の中で、ユーザーニーズを踏まえた質の高い地質情報の整備と利用の促進を求めていた。
提供:建通新聞社