全国建設業協会(全建)は26日の理事会で「公共事業の適切な執行」に関する緊急決議を行った。決議内容は▽迅速・円滑な公共事業の施工の確保▽適切な賃金水準の確保▽社会保険などへの加入▽必要経費を適切に見込んだ価格での契約締結―の四つ。傘下の都道府県協会とその会員企業に要請し、建設産業の健全化に向けた全国レベルでの取り組みにつなげていく。
緊急決議では、雇用と所得の拡大などでデフレ経済からの脱却を目指す現内閣の姿勢に言及する一方、賃金低下による若年者の入職減などで「将来の建設産業の存続が危惧される」と主張。
その上で、国土交通省から公共事業の迅速・円滑な執行や、技能労働者の適切な賃金水準の確保を要請されたことも踏まえ、全建は「国の共通の目標に向けてその役割を果たす」と決意表明している。
具体的に見ると、迅速・円滑な公共事業の施工の確保は、被災地の早期の復興と強靭(きょうじん)な国土を実現するためのもの。また、適切な賃金水準の確保は労働者の処遇改善が目的で、会員企業はもちろん、下請企業に対しても「適切な賃金を支払う」よう求める。
社会保険などへの加入についても、会員企業だけでなく、下請契約も「法定福利費を適切に含んだもの」で結ぶことで、下請け企業の加入を後押しする。
必要な経費を適切に見込んだ価格での契約締結では「ダンピング受注は厳に慎む」よう訴えている。
淺沼健一会長は、2013年度の公共工事設計労務単価の大幅アップなどに触れながら、今回の緊急決議を「デフレ(が続く建設)産業全体の再生のうねりにしなければならない」と力説した。
緊急決議の詳細は次の通り。
▽被災地の一刻も早い復興を図り、国民の安全・安心を確保する強靭な国土を実現するため、全力を挙げて迅速かつ円滑な公共事業の施工の確保に努める
▽労働者の処遇の改善を図るため、自ら適切な賃金水準の確保に努めるとともに、下請契約を締結する際には、下請け企業に対しても適切な水準の賃金を支払うよう要請する
▽社会保険などへの加入を促進するため、自ら社会保険などに加入することはもとより、下請契約を締結する際には、法定福利費を適切に含んだものとする
▽適切な賃金水準を確保するため、工事の施工に必要な経費を適切に見込んだ価格での契約の締結に努め、ダンピング受注は厳に慎む
提供:建通新聞社