建設業振興基金は、国土交通省から受託して発注機関、大手ゼネコン、登録基幹技能者の有資格者とそれぞれの所属企業を対象に行った「登録基幹技能者の評価・活用に関する実態調査」の結果をまとめた。調査の結果、調査対象者らが、それぞれの立ち位置から登録基幹技能者の「配置効果」を認識し、品質・安全対策や工程短縮などの面で、その寄与度を高く評価していることが確認された。
登録基幹技能者が配置された工事では、特に「安全対策」「出来形」「品質」「創意工夫」の項目で相対的に高い得点傾向がみられた。
国交省の各地方整備局が2010年度と11年度に発注した「登録基幹技能者を実際に配置した工事(24件)」の成績評点と、10・11年度の完成工事の成績評定点の平均とを比較したところ、配置した工事の総合評定点ではプラス0・7点、登録基幹技能者との関連が深い評点項目の合計点ではプラス1・3〜2・2の点差があった。
監理技術者などに行ったアンケートの結果、施工方法に対する「元請けへの提案」や「出来形」「品質」の確保につながった点などを、高く評価していることも分かった。
日本建設業連合会(日建連)会員企業のうち、「優良職長制度」を導入し、登録基幹技能者への賃金の支払いなどでインセンティブを付与している西松建設など6社の回答からは、ゼネコン各社が「施工品質の確保・向上」「安全性の確保・向上」「作業工程の安定・短縮」の面で特に登録基幹技能者の配置効果を認めていることが確認された。
また、有資格者を雇用している企業は「知識」「元請けとの調整・提案」「安全」「作業管理」などの面でその能力を高く評価していることや、登録基幹技能者を「難易度の高い工事に優先的に配置している」ことも確認できた。
さらに、有資格者自身は「施工方法の決定」「技能者への指示」「品質の確認」「労務・資機材の手配」などの業務を通じて、自分自身の能力が元請けの技術者から評価されていると感じていることが分かった。
提供:建通新聞社